東京エレクトロンデバイス社長が解説、半導体ブームの裏で起きてる“シビアな争い”
東京エレクトロンデバイスは、半導体製造装置で知られる東京エレクトロンの電子部品営業部門が分離・独立してできた技術商社である。現在、東京エレクトロンが同社株式の33.82%を持っているが、経営は完全に独立した会社として活動している。そんな東京エレクトロンデバイスは、ここ数年、中期経営計画「VISION 2025」の数値目標を前倒しで達成するなど、業績好調だ。しかし、この勢いは続くのだろうか。同社 代表取締役社長・CEOの徳重敦之氏に、市場の見通しや今後のビジネス展開について話を聞いた。 【詳細な図や写真】半導体市場について解説する東京エレクトロンデバイスの徳重氏
半導体市場は今後どうなる?
当社の事業の柱は、半導体や電子部品を扱う「EC(Electronics Components)事業」、ネットワークやストレージ、セキュリティなどのIT製品・サービスを扱う「CN(Computer Networks)事業」、自ら製品を開発・提供する「PB(Private Brand)事業」の3つに分かれます。 このうち、現時点で最も収益貢献度の高い事業が、半導体メーカーから仕入れた半導体・電子部品を企業に販売するEC事業となっています。当然ですが、EC事業は半導体市場の好不調に大きな影響を受けることになります。 そもそも半導体市場は、「技術革新が起こる→半導体の需要増(好況)→生産設備不足→設備投資→供給過多(不況)」といったサイクルを4年ごとの周期で繰り返しながら、好況と不況をいったり来たりする特徴があります(=シリコンサイクル)。 そうした前提がある中で、直近の2~3年はコロナ禍の影響を大きく受けました。コロナ禍では、半導体工場の稼働率が落ち込む中、自宅学習、リモートワークの普及により、通信機器の需要が拡大しました。さらに、従来からのデータ通信量増大などさまざまな要因が影響し、半導体需要がひっ迫したのです。 半導体が手に入りにくい状況であったこの時期、当社は多くの製造業のお客さまから長期の受注をいただきました。それもあり、現在は、お客さまの在庫調整が続いている状況にあります。 また当社は、産業機器と車載関連向けの半導体の取り扱いに強みがあるのですが、産業機器については中国経済の減速の影響を受けています。一方、車載関連については、全体的にEV市場が減速しているものの、HVが伸びているため、半導体需要全体が縮小しているわけではありません。 全体感としては、半導体の需要過多の時期を経て、半導体関連企業は大きく業績を伸ばしましたが、現在は調整期にあるという状況でしょう。2025年度には市場が適正化するものと考えています。