東京エレクトロンデバイス社長が解説、半導体ブームの裏で起きてる“シビアな争い”
成長性はある?東京エレデバが1番熱を入れる“新しい事業”
今のところEC事業やCN事業に比べて規模は小さいですが、自社で製品を開発・製造するPB事業に関しては、今後、最も力を入れていきたい分野と考えています。 製品の自社開発そのものは、実は30年以上前からやっていました。我々は商社ですので、世界中からさまざまなチップを集めてきます。しかし、お客さまのご要望に応えるには、どうしても「存在しないチップ」があるのです。「ないものは作るしかない」ということで、我々自身で開発・製造を始めたのが、PB事業のはじまりです。 これまでは、お客さまのご要望を受けて設計・製造する事業(=「inrevium(インレビアム)」というブランド名で展開)が中心でしたが、現在はこれをさらに広げて、収益性の高いプライベートブランドの製品の開発・製造にも力を入れています。 製品を開発するにあたり、我々が着目したのが「人間にしかできない仕事」の領域です。たとえば、2種類以上の元素を組み合わせて作る化合物半導体の製造工程がその一例に挙げられるでしょう。化合物半導体は、ガラスのように透明であることから、最終的な検査工程は“人間の目”に頼らざるを得ない状況がありました。このため、検査員の作業負担が大きいことに加え、検査のレベルに個人差が発生するなどの課題がありました。 そこで我々は、そうした人間にしかできなかった工程を自動化する検査装置「RAYSENS(レイセンス)」を開発し、2020年6月から販売しています。 さらに、2023年10月には、日本エレクトロセンサリデバイスから「ウェーハ検査装置事業」を譲り受け、より一般的なシリコン半導体の検査装置もプライベート製品のラインアップに加え、事業を強化していく計画です。
再編進む…半導体商社業界、東京エレデバの選んだ道とは
ここ数年、この業界では、半導体メーカーが販売代理店を集約しようとする流れや、直販化を志向する動きがありました。 その中で、再編に動く半導体商社も増えていましたが、当社はそうした業界動向に流されることなく、自社の強みを愚直に伸ばすことに注力しました。その結果、再編進む業界でも、しっかりポジションを維持できていると感じています。 また日本の製造業が強みとしている産業機器と車載関連の製品取り扱いに強いこともあり、次第に多くの商権が当社に集まってきました。もちろん、業界再編の流れで失う商権もありましたが、トータルではプラスだったと考えています。