東京エレクトロンデバイス社長が解説、半導体ブームの裏で起きてる“シビアな争い”
どれだけ恩恵ある?「生成AIブーム」の影響とは
ここ最近は、生成AIブームによって、エヌビディアを中心にAI半導体の開発競争が激化しています。ただし、その買い手のほとんどが巨大IT企業に集中しているというのが実態です。生成AIブームだからと言って、すべての半導体企業に恩恵があるわけではありません。 また、生成AIブームはさまざまなところに影響をもたらしています。たとえば、生成AIの開発・利用には膨大な電力を必要とします。この不足する電力問題を解決するために、ユーザーの近くでデータ処理を行う「エッジコンピューティング」の検討が急速に進められています。エッジコンピューティングは、データの送信量を減らし、ネットワークの負荷を抑えることで、通信コストや電力消費の削減に役立ちます。 そうした中、当社は、2024年11月にクアルコム社と販売代理店契約を結びました。クアルコム、インテル、NXPセミコンダクターズの3社のエッジAI向け製品を取り扱う代理店として事業展開ができる体制が整っています。その点で、間接的に生成AIブームの恩恵を受けることができる可能性があります。
半導体だけじゃない?売上貢献度の高い “ある事業”とは
当社のもう1つの大きな柱に、ネットワークやストレージ、セキュリティ領域のIT製品の販売やサービス提供を行うCN事業があります。 同事業を展開するにあたり、現在最も伸びている市場がセキュリティ領域です。今やセキュリティ分野は、AIが攻撃に使われたり、防御に使われたりするような世界になっており、先進的かつ専門的な知識がないと対応することが困難になってきています。 私たちは、お客さまのIT環境を24時間365日体制で監視し、内外のリスクから守るためのSOC(セキュリティオペレーションセンター)とNOC(ネットワークオペレーションセンター)の受託サービスの提供をはじめ、これが伸びている事業となります。 セキュリティ分野については、もともとは小さい事業体で取り組んでいました。当初は、大手のシステムインテグレータなどに私たちが見つけた製品を提供し、SIの一部として使ってもらうビジネスを展開していました。しかし、徐々に我々自身のレベルも向上し、自らシステムを構築したり、サービスを提供したりできるようになってきたという経緯があります。 また、新しい技術の発掘にも力を入れています。具体的には、当社の米国法人によって、先進性のある有望なスタートアップを発掘するという取り組みを行っています。 こうした将来有望な最先端の技術・製品の発掘に成功していることに加え、先にご紹介した24時間365日のセキュリティサービスのような収益性の高い課金型のサービスの成長が業績に貢献しています。