東京エレクトロンデバイス社長が解説、半導体ブームの裏で起きてる“シビアな争い”
どう「収益性」を向上させる?壮大で具体的な戦略
2020年5月に発表した中期経営計画「VISION 2025」で目標として掲げた財務指標は、2年前倒しで達成することができました。それを受けて、2024年4月には新しい「VISION 2030」を発表し、次のような数値を掲げました。 ■中期経営計画「VISION 2030」で掲げた目標 ・売上高:3,000~3,500億円 ・経常利益率:8%以上 ・ROE:20%以上 当社では、これまでに業務効率化、生産性向上の取り組みを行ってきました。その結果、人を増やさなくても売上・利益が上がっていく仕組みができつつあります。ただし、劇的に上げるには、やはりPB事業の成長が欠かせないと考えています。 先ほども述べましたが、その中核が半導体のウェーハ検査装置です。半導体は今後も多層化が進み、それに対応した検査技術が必要になります。また、半導体のウェーハだけではなくさまざまな素材を検査するには、新しい技術の開発も必要です。 このため、M&Aも積極的に活用したいと考えています。一定の投資金額を決めたうえで広く網を張り、必要な技術や技術者を手の内にする準備をしています。 「VISION 2025」では、「技術商社機能を持つメーカーを目指す」と宣言しましたが、最大の理由は、メーカー機能の強化が収益性の強化につながるからです。その取り組みは今後も継続し、「VISION 2030」ではメーカーと技術商社の力で社会課題を解決する会社を目指します。 ただ、考えてみれば東京エレクトロンも同じだったのです。いまでこそ世界有数の半導体製造装置メーカーとなった同社ですが、創業時は商社として電子部品などを売っていたのです。それが、半導体製造装置に出会い、自ら製造を開始して、現在の姿にまで成長しました。 創業者と話をしたことがありますが、当時からメーカーになることで事業が安定すると考えておられたようです。やはり、2軸、3軸で事業を進めることが重要です。 当社にとって、今後も半導体、IT、メーカーの3事業が柱であることは変わりません。ただし、その重みが時代によって変わるのだと考えています。引き続きPB事業を大きく成長させて、利益成長を加速していきたいですね。
聞き手:中澤智弥、執筆:井上健語、写真:鈴木智哉