インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」って何?
インドを訪問した安倍晋三首相は12日、インドのモディ首相と覚書を交わし、インドの高速鉄道敷設に日本の「新幹線システム」を導入することを確認した。日本にとって2007年に開業した台湾新幹線以来、2例目の「新幹線システム輸出」となる。日本だけではなく、9月にインドネシアに高速鉄道の輸出を決めた中国や、高速鉄道「TGV」を持つフランスなど世界各国が、自国の高速鉄道方式を輸出しようとしのぎを削っている。各国の仕様が異なる中、今回インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」とは、どのようなものなのか。
鉄道輸出の最重要ターゲットであるインド
日印両政府が交わした「高速鉄道に関する協力覚書」では、インド西部の主要都市ムンバイと北西部の都市アーメダバード間、約500キロにおける高速鉄道敷設について、日本の新幹線システムを利用して整備することが決まった。日本政府は、この計画に対して約1兆4600億円の円借款を提供し、あわせて人材育成や技術移転を行うことに合意した。 安倍政権は、「積極的なインフラ輸出」をアベノミクスの施策のひとつとして位置づけている。政府は、2014年6月に決定した「インフラシステム輸出戦略」改訂版で、2020年に我が国企業が交通分野で7兆円のインフラシステム受注することを目標に据える。中でもインドは、交通インフラ輸出の最重要ターゲットのひとつだった。 インドの鉄道は、営業距離が約6万6千キロと、アメリカ、ロシア、中国に次ぐ世界第4位であり、第3位の中国に肉薄している(2014年世界銀行調べ)。人口が多いことから旅客数も多い上、アメリカと異なり「鉄道を使う文化」がある。しかも、インドの鉄道は近代化が遅れており、一般鉄道の高速化や高速鉄道の敷設が急務だった。 インドへの高速鉄道輸出は、当初フランスが先行していた。2段階で行われる「事業化調査」の1回目は、2009年よりフランスが担当した。その後日本政府が巻き返し、2013年の安倍首相とインドのシン首相(当時)との首脳会談で、路線図、運行計画などを検討する2回目の事業化調査は日本が担当することとなった。今年6月に終了した日印共同調査の結果、新幹線システムの導入が決まった。