インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」って何?
二点目に、官民が連携したトップセールスの成功が挙げられる。首相に限らず、大臣等が頻繁にインドを訪問し、新幹線を売り込んだ。民間もインドで一般の人を対象にしたセミナーを開催し、新幹線システムの理解に努めた。そのうえで、日印共同で行われた事業化調査を通じて、日本の新幹線システムが優れているとインド側に納得させられたのが大きいという。 三点目は、資金面での援助だ。日本政府は今回、インドに対して償還期間50年、利子率年0.1%で、最大約1兆4600億円という異例の円借款を提供した。 同省の担当者はそのほかに、今回首脳間の合意とは別に国交省とインド鉄道省との間で結ばれた「鉄道分野の技術面における協力覚書」が、インド側にとって大きな評価ポイントだったのではないかと推測している。日本政府は、今回のムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道敷設とは別に、インド国鉄全体の近代化、高度化に対して幅広い技術協力を約束した。この提案が、巨大な鉄道網と人口を抱えながら、近代化の遅れているインド国鉄にとって魅力的に映ったようだ。 今回日本とインドが同意した新幹線システムによる高速鉄道敷設は、インドの高速鉄道構想の一部に過ぎない。同省は今回の新幹線システム輸出を成功させ、さらに輸出を拡大したい考えだ。 (中野宏一/THE EAST TIMES)