インドへ輸出が決まった日本の「新幹線システム」って何?
日本の「新幹線システム」とは
今回インドに導入が決まった「新幹線システム」とは何なのか。国土交通省鉄道局国際課の担当者によれば「決まった定義はないが、日本の新幹線の特徴を指す」ものだという。欧州などでは一般の列車と兼用の線路を使うことが多い高速鉄道だが、日本の新幹線の最大の特徴は「新幹線用の専用軌道を敷く」ことだという。 日本式の新幹線システムでは、新幹線用の専用線路を高架に走らせるため、線路に車などの障害物が侵入することはほとんどない。すると新幹線の車両の強度を、障害物との衝突に耐えられるほど強化する必要がなくなる。その結果、車両の重量が軽くなり、高架や橋の強度を低く抑えられて建設コストが下がり、維持負担が軽くなる。専用軌道を敷くことにより、日本の新幹線システムはライフサイクルコスト、つまり運用期間全体の長期的なコストが低く抑えられることが最大の特徴だと、同担当者は強調する。 車体が軽いことから、車両を広く作ることができる利点もある。フランスの高速鉄道「TGV」は左右に2座席ずつ、1列に4席だが、新幹線は左右に2座席と3座席ずつ、一列に5座席作ることができる。また、日本の新幹線は車内の気密性が高い。車内の気密性が高いと、トンネルに突入する際に空気の圧縮の影響を受けにくく、その分トンネルを小さく作ることができ、トンネル施工の費用を低く抑えられるという。 日本の新幹線が誇る定時運行や1時間に15本の運行を可能にするダイヤ、従業員教育の質の高さも、「新幹線システム」の売りのひとつだ。同担当者は「専用軌道を用いる新幹線システムは、建設時には費用が高いように見えるが、総合的に考えれば安いはずだ」と話す。
官民を挙げたセールスで勝ち取ったインド新幹線
今回のインドの高速鉄道導入において、競合していたのは中国だったと報じられている。日本に決まった決め手は何だったのか。国交省の担当者は、主に3つの理由を挙げる。 一つは、日印首脳間の信頼関係の醸成だ。安倍首相はシン前首相、モディ首相と首脳会談を重ね、経済分野から安全保障分野までわたる親密な関係を構築してきた。