離婚後の養育費、振り込まれず…「お金をくださいって言うのはつらい」 マンガ夜廻り猫
娘が小さな頃、離婚した女性。別れた夫には「養育費を」と求めましたが……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、娘の結婚を前にした女性のエピソードです。 【マンガ】旅行も習い事もさせてあげられず…「娘の写真が少ないの」
習い事も旅行もできず…「写真が少ないの」
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。ひとりアルバムを前にした女性の、心の涙の匂いに気づきます。 「おまいさん泣いておるな?心で どうなさった?」 娘の結婚式を前に、アルバムを手づくりしていた女性。娘が小さな頃に離婚し、夫は養育費を振り込んでくれませんでした。 家族経営の元夫の勤め先に行くと、元姑から「おカネもらいに来たの」と冷たく言い放たれます。 「もう結構です」。そう言った女性は昼夜、子どものために働き、習い事や旅行をさせる時間や余裕はありませんでした。 「写真が少ないの」「何て言われても養育費は取り立てるべきだったのかな…」と振り返ります。 「お金をくださいって言うのはつらくてね」「娘に、ごめんね幸せに、って願いながら写真を貼ってた」と語ります。 遠藤は「そうでしたか…」と言ってほほえむのでした。
「お金も謝罪も、両方を受け取って」
作者の深谷かほるさんは「お金がない時に、『お金をください』と言うのは身を切るようにつらいですよね」と話します。 ときたま、つらい思いをした側が、「お金はいい、謝罪してください」とか「お金がほしくて言ってるんじゃない、お金はもういい」とか言っていると、「『お金も謝罪も両方受け取ってください!頑張って!』と思ってしまいます」と語ります。 「お金と尊厳は結びついているんです。お金を諦めれば尊厳を守れるとは限らない。傷つけられず、傷つけることもなく、生きていけますように」と願っています。
マンガ「夜廻り猫」
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。 泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。 そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。 ◇ 深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本11巻(講談社)が2024年12月23日に発売予定。講談社「コミックDAYS 編集部ブログ」で月・金曜夜に連載中。スピンオフ「居酒屋ワカル」は講談社「コクリコ」で連載した単行本が11月22日に発売。