「ターク」で日本の美に触れ、「グッチ」で緊張の司会、優秀な高校生と出会う【向千鶴サステナDが行く】
向千鶴「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターが取材を通じて出会った人、見つけた面白いことなどを日記形式でお届けします。秋はファッションイベントが多いから新しい出会いが目白押し。ファッション×サステナビリティに取り組む人はハートがアツい人が多くてエキサイティングです。 【画像】「ターク」で日本の美に触れ、「グッチ」で緊張の司会、優秀な高校生と出会う【向千鶴サステナDが行く】
「ターク」は三島由紀夫が着たらきっと似合っただろう
「TOKYO FASHION AWARD」10周年記念イベント(9/7)
若手ファッションデザイナー支援、「TOKYO FASHION AWARD」10周年を記念するイベントで、2017年の受賞者である「ターク(TAAKK)」の森川拓野さんに公開インタビューをしました。準備のために過去のコレクションを全部見るなかで、特に惹かれたのがコロナ下のパリメンズで映像形式で発表した2022年春夏コレクションです。コットンからウールへとグラデーションで変化してゆくジャケットなどが力強く美しく、勝手ながら三島由紀夫が着たら似合っただろうなと夢想します。
デザイナーの仕事の進め方はそれぞれ。「森川さんの場合」はその映像内で明快に語られています。「偶然を必然にするってさ、モノづくりの一つの真理じゃん。それを自然はいとも簡単になしとげちゃうし、上空から見た地表とか海岸線とか、めっちゃきれいじゃん」。いい言葉ですね。具体的には機屋さんの資料室などで「原石」を見つけて、それをデザインへと展開してゆくそうです。「服の根本の生地に誰よりもストイックに向き合うことにした。そしたらまだ残されている可能性を見つけた」の言葉が実践されています。
森川さんは「日本の産地や技術を盛り上げる」みたいな表現は使いません。大義ありきではないのです。だけど結果的に実践していることはそれ、です。尾州や桐生の技術という「原石」が「美しい」ジャケットとなり世界へ出ていっているのですから。「ターク」を見て三島由紀夫を連想したのは、そのファブリックやパターンに向き合うストイックや美意識にしなやかな強さを見たからだと思います。