廣岡達朗コラム「巨人に甲斐は必要か? FA制度の間違いと佐々木朗希の悲劇」
お荷物になっていた証拠
挙げ句の果てに、23歳でこれからピークを迎える矢先にロッテがポスティング移籍を認めたということは、佐々木がチームのお荷物になっていた証拠だ。10日に1回の登板を許していたら、マジメに汗を流して投げている投手陣から文句が出ないほうがおかしい。私がロッテの監督でも「あんな選手はいらない」と引導を渡す。 確かに佐々木はいい素材を持っている。ただ、気になるのはあれだけ速い球をほうるわりにはフォークボールが多いことだ。だから長続きはしない。こうした本当のことを教える指導者がこれまで彼にはいなかったのだ。 日本の球団からすれば、扱いづらい選手がいなくなって、ポスティングでお金が入ってくるのだから、ありがたい。球界に限らず、今の日本は金儲けばかり。確かに生きていく上で金は必要だが、金がありさえすれば幸せなのか。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2024年12月2日号(11月20日発売)より 写真=BBM
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