カーリング因縁の日韓戦の明暗を分けた藤澤五月vs“メガネ先輩”のショット成功率の違い…71%と90%
4年前の平昌五輪を振り返れば、1次リーグでは日本が7-5で逆転勝ちし、1位で決勝トーナメントに進んだ韓国に唯一の黒星をつけた。しかし、4位でコマを進めた準決勝では延長戦にもつれ込む死闘の末に、7-8で返り討ちにあっている。 昨年4月の世界選手権でともに6位以内を逃し、今大会への出場権を一発で射止められなかった両国は同12月の世界最終予選で再び激突。1次リーグとプレーオフ1で連勝した日本がまず出場権を獲得し、プレーオフ2でラトビアを下した韓国も続いた。 再び五輪の舞台に立つまで、金恩貞に率いられるチームは逆境に立たされてきた。 韓国カーリング連盟やナショナルチーム関係者から、暴言を含めた不当な扱いを受けていると金恩貞が告発したのが2018年秋。しかし、逆風は勇気を振り絞った銀メダリストたちに向けられ、満足に練習ができない状態に追い込まれたという。 結婚および出産をへて金恩貞が復帰しても状況は変わらなかったが、世界最終予選を勝ち抜いたのを境に少しずつ風向きが変わり始め、平昌五輪の競技会場になった江陵にようやく練習拠点を確保。急ピッチで仕上げて臨んだ今大会だった。 だからこそ、計り知れないほどのプレッシャーを、胸中にしのばせていたのだろう。日本のコンシードで連敗を止め、3勝3敗の五分に戻した直後のひとコマ。試合中は眼鏡が際立たせていた険しい表情を満開の笑顔に変えた金恩貞は、テレビカメラへ投げキッスを捧げ、金善英、金栄美、金敬愛、リザーブの金超喜と喜びを分かち合った。 同時間帯に行われていた一戦で、世界選手権覇者で世界ランキング2位のスイスが延長戦の末に5-6で、平昌五輪金メダルで同1位のスウェーデンに敗れた。開幕からの連勝を「5」で止められたスイスだが、それでも首位をキープしている。 4勝2敗でスイスを追うのはスウェーデンと世界選手権銅メダルで同6位のアメリカ、そして韓国に連勝を「4」で止められた同7位の日本。さらに同3位の韓国、ソチ五輪金メダルで同5位のカナダ、そしてイギリスが3勝3敗で続いている。 参加10ヵ国が総当たりで対戦するカーリング女子1次リーグは、各国とも残り3試合となった。メダル獲りがかかった準決勝以降の決勝トーナメントに進む4ヵ国は、おそらく現状で3勝3敗までの7ヵ国に絞られたと言っていい。 平昌五輪を振り返れば、日本は5勝4敗の4位で準決勝へ進出している。これがボーダーラインになると考えれば、15日に待つ世界ランキング8位のイギリス戦に日本は何がなんでも勝ち、その上で16日のアメリカ、17日のスイス戦を迎えたい。 「負けた試合の方が学ぶべきことがすごく多いですし、実際に今日はたくさんミスをしたので、そのミスを明日繰り返さないようにチームで話し合いたい。改善点はたくさん出てくると思うので、明日は気持ちを切り替えて、今日の反省を生かしていきたい」 平昌五輪の3位決定戦で下した、スキップのイブ・ミュアヘッドに率いられるイギリスとの再戦へ。韓国に喫した完敗をいい意味でプラス材料に転じさせられるかを含めて、試合が始まる日本時間15時5分までの過ごし方が勝負を分けると藤澤は力を込めた。メダルの行方を左右する、心身両面の戦いがいよいよクライマックスを迎える。