人気の “ガトーショコラ”! 冠雪のグラデーションが美しい浅間山を眺める絶景登山【黒斑山】群馬県・長野県
黒斑山(くろふやま)は浅間山の外輪山の一つで、標高は2,404m。長野と群馬の県境に位置しています。周辺は百名山、浅間山の秀麗な山容を眺めるのに最適の場所で、アプローチもいいことから冬山登山も含めて人気の山です。 ◆【画像】浅間山に振りかけられた粉砂糖!「人気の絶景、ガトーショコラ」とガラス細工のような、繊細で儚い雪景色(すべての写真を見る) 冬の浅間山といえば、雪山登山者にはすっかりお馴染みとなった“ガトーショコラ”でしょう。火山であることを思わせる黒い山肌に雪が降り積もる姿は、まるでチョコレートケーキの上からパラパラと粉砂糖をまぶしたかのよう。この姿が“ガトーショコラ”と呼ばれ、親しまれています。 ほとんど毎年のようにこの時期に訪れている筆者ですが、今年は暖かい日が続きやきもきしていました。ようやく、わずかながら積雪があった2日後、晴天の天気予報に胸を躍らせて山へと向かいました。
■何度訪れても飽きない、浅間山を眺める白銀の稜線へ
浅間山は日本有数の活火山であり、山頂付近から噴気を上げている様子も観察できます。気象庁は2024年12月現在、浅間山を噴火警戒レベル2(火口周辺規制)に引き上げ継続中で、浅間山そのものへの登頂は禁止しています。火山活動の活発化や噴火の危険から、登れるのは外輪山の途中までです。 年間を通じて美しい景色が楽しめますが、澄み渡った“浅間ブルー”の空の下、霧氷や雪に覆われた樹林が抜群に美しく、展望素晴らしい稜線が続いています。何度も通っていますが、いつ行っても感動的な景色を見せてくれる場所です。
■“ガトーショコラ”と出会う展望台「槍ヶ鞘」と「トーミの頭」
当日の道中、空はすっぽりと雲に覆われており、普段なら浅間山を眺めることができる場所からも全く見えませんでした。しかし、曲がりくねった山道を走っていると、標高を上げるにつれ雲が薄くなり気づけば雲の上に。眼下に見事な雲海が広がる景色のなか、高峰高原ビジターセンターの駐車場に車を停めました。 「車坂峠(1,973m)」から道標にしたがって「トーミの頭」を目指します。山に向かって右は表コース、左は中コースで、往路は表、帰路に中コースを利用することが多いのですが、今回もその計画です。 登山口の気温はちょうど0℃。吐く息は白く、目の前の景色はうっすらと雪に覆われていました。緩やかに登っていく登山道をしばらく進むと、日陰の急斜面を下ります。雪こそ少ないものの、凍りついた道はむしろ滑りやすく、慎重に下りました。ふたたびじわじわと標高を上げていきます。 開けた場所では雲海の向こう島のように浮かぶ山々の眺望が見事で、富士山も確認できました。それにしても、冷えた空気のなかに光り輝く森の景色は儚げで美しく、つい足を止めてカメラのシャッターを切ってしまいます。避難シェルターを通り越すと、いよいよ浅間山とのご対面です。 ついに雪化粧した森の向こう、白く粉砂糖を振りかけられたような浅間山が姿を見せました。空は見事なまでに青く澄んでいます。期待以上、吸い込まれそうなほど印象的な光景でした。 一度浅間山は見えなくなりますが、コル状の「槍ヶ鞘(やりがさや)」で再会します。暗いトーンの山肌に白い粉砂糖を優しくかけたような雪が積もり、まさに巨大な“ガトーショコラ”です。左手にはトーミの頭へと続く斜面が荒々しく立ち上がっており、浅間山の穏やかな姿とのコントラストが際立っていました。 トーミの頭へは傾斜もあり、岩がゴロゴロと転がる少々険しい道となります。日当たりがいいために、凍っていた水分が溶けて登山道はすっかりぬかるんでいました。 溶岩が積み重なったようなトーミの頭は完璧な展望台です。“ガトーショコラ”、浅間山はもちろん、富士山、八ヶ岳、中央アルプスや北アルプスの稜線もすっきりと見晴らすことができました。妙義山、北関東の山々や上越国境の雪深い山々も白く輝き、山々を数えだすと枚挙にいとまがないほどです。