「SDV」ってなに? ―自動車産業の盛衰をかけた挑戦と求められるマインドの大転換―
ふんわりしていた「SDV」の解釈に一応の定義が
昨今、報道などで目にする機会の増えていた「SDV(Software Defined Vehicle)」が、ついに“お墨付き”を得た。経済産業省と国土交通省が2024年5月20日に発表した資料『モビリティDX戦略(案)』で、取り組み目標「SDVのグローバル販売台数における『日系シェア3割』」と、具体的な目標値「2030年は約1100万台~1200万台」「2035年は約1700万台~1900万台」を示したのだ。 【写真】ホンダの未来を担うBEV! Honda 0 SALOON/SPACE-HUBの外装・内装を見る(94枚) しかしより重要なのは、ようやくSDVという言葉に“定義づけ”がなされたことかもしれない。同資料は2024年5月24日付で、(案)が取れた『モビリティDX戦略』としてあらためて公開されている(参照)。その際に「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)とは、クラウドとの通信により、自動車の機能を継続的にアップデートすることで、運転機能の高度化など従来車にない新たな価値が実現可能な次世代の自動車のことです。」という説明が添えられたのだ。これまで「SDVは“ソフトウエア定義車両”と訳されているが、確固たる定義はない」という解説が一般的だったが、今後は、少なくとも国内ではこの説明が議論のベースになる。 この説明は、①クラウドを使う、②通信で機能をアップデートする、③運転機能が高度化するという3点に分解できる。似たところでは「OTA(Over The Air)」という言葉もあるが、こちらは無線通信による自動車のアップデート、ないしそれを可能にする通信技術の意だ。今後、OTAはSDVに包含されるものと解釈するほうがいいだろう。 重要なのは、アップデートの対象がエンターテインメント関連機能ではなく、運転機能と明記された点だ。また、「BEV(電気自動車)のみならず、ICE(エンジン搭載車)も含めたすべてのパワートレインのSDV化」という記述もあり、SDVがBEVだけに適用される技術でない点も念頭に置いておきたい。