日銀・黒田総裁会見9月19日(全文1)7月の政策修正「評価するのはやや性急」
7月の会合で政策の修正、効果はあったのか
毎日新聞:幹事からもう1点質問です。前回7月の会合で政策の修正を行われて、長期金利の変動幅を倍程度に広げられました。これによってその後1カ月半が経過しましたが、国債市場の機能の改善といった、そういった効果は出ているのでしょうか。もう1つ8月にETFの買い入れについては金額がかなり減少したと思うのですけれども、これも政策修正に伴った買い方の変更などがあったことによる結果なのでしょうか。お願いいたします。 黒田:前段のご質問のうち、7月の金融政策決定会合後の国債市場を見ますと、一頃よりも取引が活発化し、国債の値動きも幾分増しているというふうに思います。また日本銀行が8月に実施したアンケート調査では約3年ぶりに債券市場の機能度が改善したと答えた先の割合が、低下したと答えた先の割合を上回る結果となりました。もっともご承知のとおり、例年夏場は市場取引が細りやすく、実勢も見極めにくい時期であるため、このタイミングで今回の措置の効果を評価するのはやや性急かなというふうに思います。日本銀行としては今後、国債買い入れを弾力的に運営していく中で、経済・物価情勢等に対する市場参加者の見方を反映して、従来よりも柔軟な形で金利が形成されることなどを通じて、国債市場の機能度が向上していくことを期待しております。 後段のこのETFの買い入れにつきましては、株式市場におけるリスクプレミアムに働き掛けることを通じて、経済・物価にプラスの影響を及ぼしていくという観点から実施してるわけでありますので、具体的な買い入れ額は7月の決定会合で示したとおり、その時々のリスクプレミアムの状況に応じて、上下に変動しうるということであります。リスクプレミアムの状況については、単一の基準に基づいて判断するというわけではなくて、多くの市場参加者と同様に、株価の変動のほか、企業収益や配当の動向も含めて、さまざまな市場の動きを踏まえながら総合的に判断をしております。この点は7月以前から変わっておりません。8月の買い入れ回数が少なめであったことも、こうした判断に基づいて買い入れを進めた結果でありまして、買い入れ額についてなんらかの予断を持ってるものではありません。なお、9月入り後はすでに5回の買い入れを実施しており、買い入れ額も8月に比べて大きく増加をしております。