日銀・黒田総裁会見9月19日(全文1)7月の政策修正「評価するのはやや性急」
大規模金融緩和に伴う副作用について
毎日新聞:幹事からもう1点質問です。いわゆる大規模金融緩和に伴う副作用についてお尋ねいたします。総裁はこれまで金融仲介機能について特に問題は出ていないという認識を示していらっしゃいますけども、今後例えば景気が悪化した際には不良債権の増加などに伴って、一気にそうした金融仲介機能の悪化が顕在化する、そういった懸念も指摘されています。そうした事態にも備えて、さらなる副作用の対策、予防措置を取る必要はないのか、現時点での総裁のお考えをお願いいたします。 黒田:従来から申し上げていますとおり、また金融システムレポートなどでも報告しておりますとおり、わが国の金融仲介活動そのものは銀行貸し出しを中心に、引き続き積極的な状況にありまして、これが景気の緩やかな拡大を支えているというふうに考えております。で、こうした下で、わが国の金融機関は仮にリーマンショックのようなテールイベントが発生した場合でも、資本と流動性の面で相応の体制を備えておりまして、全体としてわが国の金融システムは安定性を維持しているというふうに考えております。 ただ、一方で金融機関の基礎的収益力は、人口や企業数の減少のほか、低金利環境の長期化から趨勢的に低下しているということも事実でありまして、この点が将来的に金融機関のリスク【定義 00:10:22】姿勢の消極化を通じて金融仲介機能の制約となることがないか、しっかりと点検していくことが適当であるというふうに考えております。金融政策運営面では2%の観点の目標の実現に時間が掛かることが見込まれる中、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが不可欠というふうに考えておりまして、日本銀行としては今後とも、これは冒頭にも申し上げたとおり、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえながら、適切な政策運営に努めていく方針でございます。 毎日新聞:幹事からの質問は以上です。各社、お願いいたします。 黒田:どうぞ。はい。