ドルトムントがCL決勝進出を果たせた理由。ドイツ国内リーグで苦戦も、欧州の舞台で輝けた“カップ戦仕様”
CLでもリーグでも戦えるハイブリットなチーム作りへ
CLでのドルトムントのサッカーはある意味カップ戦仕様。守備を固める戦い方は、リーグ戦だと厳しい。勝ち切れないからだ。カップ戦だったら引き分けでも延長戦があり、さらにPK戦までいっても勝ち残れる可能性が残る。 ただし、この戦い方をしたら毎年決勝まで残れるかといったらそれはまた別の話になる。その上で、自分たちの現状を見つめ、最大限に勝ち残るチャンスを手にするための戦略として徹底してやり通した決断には誇れるものがあるだろう。 代表取締役を務めるハンス・ヨアヒム・バッツケは「ドルトムントにとってCL決勝進出というのはいつでもできることではない」と話していた。クラブとして将来性の高い若手選手に出場機会を与え、成長へと導き、メガクラブへのステップアップへ橋渡しをし、高値で売却する。昨季はアーリング・ハーランドをマンチェスター・シティへ、今季はジュード・ベリンガムをレアル・マドリードに輩出。そんなクラブとしての経営哲学をベースにしながら、タイトル争いができるチーム作りへも取り組もうとしている。 ドルトムントにとって、51戦無敗でEL決勝戦に進出し、バイエルンの12連覇を阻止してブンデスリーガ優勝を果たしたレバークーゼンから学ぶべきことも多いだろう。CLでもリーグでも戦えるハイブリットなチーム作りへ。ドルトムントにとって今回の決勝進出がそのための第一歩となるだろうか。 <了>
文=中野吉之伴