教職調整額について教員259名に調査「引き上げで教員志望者は増えない」が96%、給与増より業務改善を求める
教員向け支援サービスを展開する株式会社クジラボは、政府が検討する「教職調整額」の引き上げ案について教職員に調査を実施、96%が「教職調整額引き上げで先生になりたい人は増えると思わない」と回答、調査結果から、給与より業務改善が強く求められているとことがわかった。 【画像】全体の96%が「教職調整額引き上げで先生になりたい人は増えると思わない」と回答 現在、文部科学省が公務員の教員に対する給与の教職調整額を現在の4%から13%に引き上げる案を出し、財務省は働き方改革の進捗と残業時間減の条件付きで2030年度まで段階的に10%まで引き上げる案を出して議論が続いている。クジラボは、11月15日から23日にかけて全国の20代から60代までの小中高校と特別支援学校の現役教員に教職調整額について調査を行い、259名から回答を得た。 教職調整額に対する意見として、全体の96%が「教職調整額引き上げで先生になりたい人は増えると思わない」と回答。回答者のほとんどが教員のなり手不足解消には結び付かないと認識しており、全体の33.2%は教職調整額が増えても「喜ばれるとも増えるとも思わない」と強い否定の回答をしている。 また、教員を辞めたいと思ったことがある教員に理由を聞くと、68.9%が「業務量の負担」で最も多く、次いで59.2%が「教育以外の業務割合の多さ」と業務改善を求めている一方で「給与や待遇面」は35.3%となっている。 さらに、10年後も先生の仕事を「続けたくない」または「あまり続けたくない」とした教員は全体の52.9%で、この回答者にどんな制度やサポートがあれば続ける意向が上がるかと問うと「教育に直接的に関わらない業務の軽減・削減」が49.6%とトップとなり「給与や待遇の改善」は14.6%にとどまった。 そして、そのうちの83.9%が「教職調整額が増えても、先生を続けたい意向に変化は生まれない」と回答し、教職調整額の増額が教員の退職防止にもあまり影響がないことを調査は示している。 一方、残業時間と調整額も抑える財務省案については83.0%が「財務省案が可決されても働き方改革に期待は持てない」と答え、その理由として「残業の隠ぺいに変わる」「職場に業務を削減しようとする雰囲気がない」という意見があった。教職調整額全体の意見でも、業務改善の優先を求める意見が多くなっている。
こどもとIT,正田拓也