ミームコインとマクロ経済の関係は──米クレジットカード延滞率は2012年以来の高さ
アメリカの消費者はクレジットカードのローン返済に苦しんでおり、ミームコインのような重要ではない資産にとって厳しい状況になっている。 ニューヨーク連邦準備銀行が最近発表したデータによると、90日以上延滞している深刻な状態にあるクレジットカードローンの割合は、第1四半期に10.69%に増加し、2012年第2四半期以来の高水準となった。 第1四半期中に残高は140億ドル(約2兆1700億円、1ドル=155円換算)減少し、1兆1200億ドル(約173兆6000億円)となったが、それでも前年度比で13.1%増となっている。 シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー(Austan Goolsbee)総裁は今年初めに、消費者金融の亀裂は最も懸念される経済データの一つであり、多くの場合「事態が悪化しようとしている」ことを示す先行指標だと述べた。 負債が増えると可処分所得が減り、暗号資産(仮想通貨)などのリスク資産への投資意欲が弱まる。ルイジ・ギソ(Luigi Guiso)氏、テュリオ・ヤペッリ(Tullio Jappelli)氏、ダニエレ・テルリゼーゼ(Daniele Terlizzese)氏が『American Economic Review』誌に執筆した論文によると、借り入れの制約により、個人が保有する資産のうち、流動性が低くリスクの高い資産の割合が低くなる可能性があるという。 興味深いことに、暗号資産の中でも最もリスクが高いとされるミームコインは、ここ4週間で下落圧力がかかり、市場をリードするビットコイン(BTC)よりも下落している。Coingeckoのデータによると、ドージコイン(DOGE)、柴犬コイン(SHIB)、ドッグウィフハット(WIF)といった時価総額上位のミームコインは、ビットコインの2.4%に対して20%以上下落している。 消費者金融が弱体化しているとはいえ、必ずしも「ディジェン(degens:投機に夢中になっている人)」がいなくなるわけではないため、ミームコインが完全に崩壊するとは限らない。 AllianceDAOのシャオ・ワン(Qiao Wang)氏はブログ投稿で、ディジェン、つまり暗号資産市場でハイリスクな投機的取引を行う人々は、初期のインターネット利用者と本質的に異なる存在ではないと述べ、ディジェンを「未検証の製品に果敢に挑戦する金融リスクテイカー」と表現している。 Ledger Academyが指摘するように、彼らは指標やトークノミクス、ファンダメンタル分析やテクニカル分析には関心がなく、「投資したプロジェクトやコミュニティに献身している」のだ。 ギャラクシー(Galaxy)の米州営業責任者であるケリー・グリア(Kelly Greer)氏は、借金の増加にもかかわらず、ディジェンは市場で活発な活動を続ける可能性が高いと述べた。 「アメリカ人の60%がクレジットカードの負債を抱えており、その数は増え続けている。偶然ではなく、ギャンブルや退廃的な行為も広がっている。@zerohedgeが経済が破綻すると言っているのは正しいかもしれないが、それとともにミームが死ぬという点については同意できない。退廃的な人々は、経済が破綻しても、さらにギャンブルを続けるだろう」とグリアはXで述べている。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Meme Coins and Macro: U.S. Credit Card Holders Most Stressed Since 2012
CoinDesk Japan 編集部