AI駆使した「ATM」 3文字で物語出力 現代美術家の新作 茨城
数多くの国際芸術祭に参加し、国内外で活躍する現代美術家、田村友一郎さんの7年ぶりの個展「田村友一郎 ATM」が水戸市の水戸芸術館で開かれている。芸術館の英語表記「Art Tower Mito」(略称ATM)から着想を得て、生成AI(人工知能)を駆使した新作「ATM」などを公開している。 田村さんは京都府在住。歴史や身近な大衆的テーマなどから着想を得て現実と虚構が交わる物語を構築し、歴史や人々の記憶に新たな解釈をもたらす作品を発表してきた。表現方法は写真や映像、インスタレーション(空間芸術)から舞台までと幅広い。 新作「ATM」は、現金自動受払機(ATM)のような形をしている。来場者が作品のパネル部分に任意の3文字のアルファベットを入力すると、3文からなる短い物語が書かれた紙が出力される。日本語と英語で記されており、文章の最初の読みや頭文字は入力したアルファベットに対応している。これは田村さんが過去の作品で使った膨大な数の単語から、生成AIが構築したものだという。 個展では、田村さんの過去の作品やその一部をアルファベットごとに再構成して展示。たとえば「B」がテーマの空間には、ドイツの自動車大手「BMW」の車を用いた2023年の作品などが展示されている。田村さんにとって過去最大規模の個展であり、回顧展でもあるという。 26日まで。月曜(祝日の場合は翌日)は休館。午前10時~午後6時(入場は午後5時半まで)。一般900円、高校生以下と70歳以上などは無料。【鈴木敬子】