「 MY G-SHOCK 」が生み出した情緒的な価値。顧客一人ひとりと向き合う姿勢で新たな購入層を創出
ブランドの根底を守りつつ臨機応変に進める
DD:当初の想定とは違ったものの、ユーザーがどういったところに価値を感じているのか、いち早く検知して施策を練る。事業に歴史や伝統を持つ企業だからこそ、本来は難しいと感じます。 阿部:既存の事業は効率化のために、営業・開発などが分かれています。これは、利益を生む組織としてはあるべき姿ではありますが、そうすると変化への適応が難しい側面もあるんですよね。 その点、「MY G-SHOCK」が臨機応変にプロモーションを変えられたのは、お客様の楽しみ方が顕在化してきたからこそだと思います。また、サービスの仕組みや取り巻く環境にも恵まれていました。プロジェクトの立ち上げ当初から全社一丸となって進めてきたため、ステークホルダーとコミュニケーションを取るスピードが早くできているんです。 DD:VTuberとコラボしたときも、社内の合意はスムーズに得られましたか? 阿部:正直、役員にVTuberや推し活について説明するときは緊張しました。ただ、「MY G-SHOCK」の役割を果たすためには、どうしたらいいかということを常に考えていましたし、社内の風通しのよさもあり、アイデアに蓋をすることなく企画を進められました。 「妄想コラボ(理想のキャラクターや有名人とコラボを想定したデザインシリーズ)」という施策では、各企業様とのコラボについて私たちのグループから社内の各方面に大真面目に誠意を持って伝えていったので、非常にユニークなデザインでも、問題なく合意を得られましたね。 そうした施策も、G-SHOCKのブランド毀損にならないよう、「根底にあるかっこよさ」「挑戦する姿勢」「力強さ」などを崩さずに進められたことがポイントだったと思います。 DD:ブランド価値を守りつつも、新たな価値を生み出していると感じます。 阿部:前提としては、G-SHOCKをカスタマイズできること自体に確固たる価値があると思っています。サービスを正式展開するにあたって、商品企画の担当者と実際にパーツを組み立てていたときのことは今でも覚えていますね。カスタマイズ自体が予想以上に楽しかったんです。「MY G-SHOCK」の価値は、「カスタマイズが楽しい」「G-SHOCKはやっぱりカッコイイ」という前提があってこそ、価値を提供できるはずです。