恐ろしい…「人と接するのが好きだから、接客業に就きたい」←ここにある“根本的な勘違い”
人と関わる仕事に就くなら「精神的サバイバルスキル」を身につける
では、どうしたらいいのでしょうか。まずは精神的にタフになるしかありません。次に、限られた精神力を使いすぎないことです。 昔、ある大学の学生相談室の前を通りかかったら、三重丸の図が貼ってありました(図表参照)。それぞれにA、B、Cと書いてあります。真ん中の丸Aは、「自分の大切な人・重要な人」。Bの丸は「自分が接しないといけない人」。最後のいちばん外側の丸Cは、「その他大勢」。我々の精神力のキャパシティーは限られているのに、精神的に疲弊してしまう人は、BやCの人にまでAの精神力を使ってしまう、といった趣旨が書いてあり、なるほどと思いました。 高校生の「人と接するのが好き」は、ほぼAの丸の相手だけです。Bのクラスメートや先生とですら、接するのが苦痛なこともあるでしょう。まして、接客業の多くはCの丸の大多数の人にまで精神力を使わないといけません。ここで実社会で生き延びるサバイバルスキルを身につけることが重要になるのです。
一方、「人と接するのが苦手な人」は?
「人と接するのが好き」な社交的な人とは逆に、「人見知りで人と話すのが苦手、営業や接客業に就きたくない」という人もいるでしょう。こうしたタイプの人は、「人と接するのが好き」な人と違い、今までに人間関係に苦しんできた経験があると思われます。安心してください。つらいのはあなただけではありません。 野生動物を思い浮かべてください。人間に出会うと、基本的に逃げますよね。あれが動物の本来の姿です。僕たちも、心を許したごく一部の集団を除けば、他人と接するのは精神力を使い、困難なものなのです。それを、明るく、陽気でなければいけない、常に朗らかでなければいけないと強制されるから、接客業などの人は精神的に疲れきってしまうのです。 あなたが他人を愛するほど、他人はあなたを愛してくれません。無理をしないでください。「適度に距離を置いてつき合う」のが大事です。人間関係で自分が疲弊するような無理な精神力の使い方をしないことです。 大学では、同じクラス全員で授業を受ける機会は大幅に少なくなるので、人間関係の苦痛はかなり減ります。それが居心地がよい人もいるでしょう。ところが社会人になると、また会社の人間関係はクラスのようになります。そこが問題です。ただ、学校のクラスに比べれば、会社や組織の人間関係は業務に限定されたものが多いので、濃い人間関係に苦しまないために自分なりにできる工夫はありますし、嫌なら転職すればいいのです。最低限の精神力でできる仕事を選ぶという手もあります。仕事で圧倒的な結果を出せば、少々人間関係に疎くても、他人に尊重されることもあります。大人になれば自分の人生を自分で選べる範囲が広がります。あなたにとっての居心地のよさが大事なのです。大学選びも就職もです。