AIが人間を超えた未来──AIが人より100万倍賢くなったら人間はどうなるか?
曖昧さと想定外にはまだ対応できない
囲碁や将棋やチェスでコンピュータが人間を超え、今後はAIが人間の仕事を置き換えるのではないか、とまことしやかに言われています。 しかし、今のところ、AIが解けるのは、良定義問題(well-defined problem)です。悪定義問題(ill-defined problem)は解けません。良定義問題とは、問題定義を明確に行える問題。 わかりやすくいうと、いまのところ、AIは、与えられた問題しか解けないということです。 「このほうきとちりとりを使って、この部屋を掃除しておいて」だったらできても「掃除用品を適当に買ってきて、この部屋を掃除しておいて」はできません。 囲碁や将棋やチェスのようにルールが明確な問題は解けますが、想定外に途中で目的やルールが変わる問題は解けません。 そう。まだ、曖昧さと想定外には対応できないのです。 AIの中身は、曖昧な問題を捉えられるようになったのですが、AIへの入力と出力の部分は、いまのところ曖昧ではない問題にしか対応していないのです。 ですから、AIが人間から奪う仕事は、当面、マニュアル化された、型にはまった仕事でしょう。もちろん、型にはまっていさえすれば、自動運転とか、病気の自動診断とか、裁判の自動判断とかいった、高度な問題にも適用できるようになるでしょう。しかし、定義が不明確な問題には、当面は適用されないでしょう。 とはいえ、AIは、未来永劫、定義が明確でない問題を解けないかというと、私はそうは思いません。定義が不明確な問題をいかに解くか、という研究が進めば、いずれは解けるようになるでしょう。ただし、そのためには、ニューラルネットワークの開発、ディープラーニングの開発に続く、もうひとつ(あるいはそれ以上)の科学技術上の発明が必要だと思うのです。それはもうすぐかもしれません。確かに、それがもうすぐ起きるなら、2045年にAIが人間を超えるかもしれませんね。 ただし、「意識を持ったAI」の研究は全くといっていいほど進んでいません。人間は、意識の上に知情意を感じることができますが、AIは全く感じていません。こちらも、何か科学技術上の大発明や大発見がない限り、実現できないというべきかもしれません。 ただ、私は、前にも述べたように、「人間の意識も所詮は幻想のようなもの」と考えているので、特に意識を持ったAIを作る必要性は感じていないのですけどね。 ※次回は4月15日ごろ掲載予定です。