AIが人間を超えた未来──AIが人より100万倍賢くなったら人間はどうなるか?
AIはいつごろ人間を超えるのか
AIはいつごろ人間を超えるのでしょうか。カーツワイルがいうように2045年なのでしょうか。27年後。あるいは、もっと早いのか。おそいのか。 未来予測には、過去の経緯が役に立ちます。過去を振り返ってみましょう。 これまでにも何度か、「AIはすごいぞ」というブームがあったといわれています。正確には、ブームというより、パラダイムシフトといった方がいいかもしれません。新しい技術が世の中に広がったため、それまではできなかったような計算が可能になったのです。 1度目は、コンピュータが発明されてから10年くらい経った1950~60年代。あらゆるデータを格納しておいて検索すればなんだって見つかるというもの。膨大なデータベースの中から正しい答えを探してくるということです。推論です。検索ですね。 2度目は1980年代。通産省が行っていた第5世代コンピュータのプロジェクトが脚光を浴びたころです。知識表現の技術進歩です。 個人的には、もう少し後に起こった人工生命ブームを懐かしく思い出します。1980年代くらいから。そのころまでに開発されたニューラルネットワークや進化的計算など、人間が予想もしないような答えをコンピュータが“創造的に”出せるようになったことで盛り上がりました。私も、1990年代には、進化するロボットや勝手に学習するロボットの研究をしていたものです。ミミズとアオムシとシャクトリムシの進化シミュレーションなど、生物進化のシミュレーション研究もやっていました。 そして、最近の、深層学習(ディープラーニング)やビッグデータに関するブーム。解ける問題の質と量は一気に拡大しましたが、基本的には、ニューラルネットワークを多層化したものです。つまり、1980年代にも流行っていたニューラルネットワークの技術が高度化して脚光を浴びているのが深層学習です。 見方を変えると、深層学習は、人間の無意識のように「なぜか理由はわからないけど直感でこっちがいいと考える」というような判断をAIもできるようになったということなので、大きな進歩といえるでしょう。