芸人エハラマサヒロ「人間は死ねないんだな」―過去を乗りこえ、たどり着いた家族観
大事なのは信頼関係。子どもの一番の友達でありたい
10代のつらい過去や、若手芸人として破天荒に振る舞ってきた時期を経て、家族でともに過ごす時間の大切さに気づいた現在。どんな家族のカタチを思い描き、どういった親子関係を築こうとしているのか。 ――家事や育児に積極的になったタイミングは? 3人目が生まれた頃から、仕事が少し安定してきて、ようやく家のことにも時間を割けるようになりました。そして4人目が生まれる前くらいからは、「家におれる時間をもっと増やそう」と思い仕事の仕方をガラッと変更。自分自身が共働き家庭で育ち、鍵っ子だったので父親ともっと遊びたいなと思うことがあったんです。それに、3人の子どもを見ながら家事をこなす奥さんの役割を体験してみて、「こんな大変なことをずっとひとりでやっていたのか」とぞっとしたのも理由ですね。 2人目が生まれた頃までは、僕は仕事に必死でした。お笑い芸人という職業柄ちょっと気を抜いたら仕事がなくなってしまうという危機感もあったんです。奥さんには「ほんまにつらかったら言って」と声をかけていましたが、彼女は何も言わなかった。僕に負担をかけないように考えてくれていたんだと思います。 家事についてはほぼ奥さんがやってくれています。僕はお風呂掃除をするくらい。頻繁に「大丈夫?」と聞いているんですが、彼女はいつも「大丈夫、大丈夫」と言うんですよ。そうは言っても実は大丈夫じゃないパターンもあると思うので、家事を休めるよういろいろと提案もしています。僕は子育ての面で、子どもと遊んだり、受験生の長女の勉強を見たりしています。 奥さんには「今の給料と同じだけもらえるとしても、僕はこれだけの家事育児を毎日やるのはキツイと思う」と伝えました。それくらい大変でしょと言っても、彼女は「人のお世話や家事が好きだからつらくない」と言うんです。「じゃあ得意なことなら任せるね、つらくなったら言ってね」ということで、僕は自分が得意な子どもの遊び相手をするという分担の仕方に落ち着きました。 ――4人のお子さんと接する中で、意識されていることはありますか? 子どもの一番の友達になりたいと思っていますね。8歳を相手にするなら8歳の自分として、子どもと目線を合わせてしゃべりたいなと。「お父さんやから」というしゃべり方は基本的にしないようにしています。たとえばいじめなどの悩みごとがあったとき、「友達には相談できるけど親にはできない」場合もあるじゃないですか。そんなときにも相談してもらえる親になるには、一番の友達になったほうがいいと思っているんです。一方で締めるところに関しては、ちゃんと締めます。「怒らせたら怖い、やっぱり大人なんやな」という緩急はつけているつもりです。 (文:卯岡若菜 / 動画編集:廣瀬正樹)