【東奥日報プラス】移りゆく世界の中で(1) 長期トレンドで経済社会を考える。大規模な金融緩和による株価の上昇と企業価値。アベノミクスは失敗か? 藤井 一弘 (青森公立大学経営経済学部教授)
安倍前首相が「アベノミクス」を提唱、「日本再興戦略」に全容を示した直後に当たる2013年6月24日の青森市の証券会社前の株価ボード。東証平均株価は13000円余りだったが、7年半を経た2020年12月現在、この2倍の26000円前後で推移している
北陸地方の短期大学を振り出しに関西地区の私大2校、そして現在の本務校で経営学分野の科目担当を続けて、年度末でまる34年になる。学部のゼミ、大学院と経営学に取り組んでからだと41年を数える。41年というのは、今の感覚でなくても「歴史の向こう」と言えるだろう。1986年に昭和20年(太平洋戦争敗戦の年)を振り返るのと同じなのだから。にもかかわらず、これから、その「歴史」を見遣りながら、経済社会をはじめとする現在の世界を考えていきたい。枕詞のようではあるが世界はめまぐるしく変化し、刹那に反射的に反応せねば取り残されるという一種の強迫観念に陥っているようでもあり、意識的に立ち止まって考えない限り、今、行っている、あるいは行われていることの意味を見失うことにもなるだろう。私としては、それは避けたい。どれだけ続くかは見通せないが、本稿は、その試みの1回目である。
本文:3,210文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。