屋台ラーメンは? 新聞の電子版は? 「軽減税率」対象まとめ
イートイン飲食は「10%」だが難しい外食の線引き
「外食」も軽減税率の適用外になる。したがって、レストランなどの飲食店内で食事をする場合は税率10%が適用される。 ただ外食の定義は難しい。国税庁の「Q&A」によると、コンビニエンスストアで購入し、飲食物を持ち帰って自宅や公園で食べる場合は8%適用だが、店内にあるイートインコーナーで飲食した場合は10%が適用される。実際コンビニでは持ち帰り前提の包装や容器で飲食物を販売するケースが多いと考えられ、前述のQ&Aでは、店内に「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」などの掲示をして客に意思確認を行えばよい、としている。屋台のラーメン屋でテーブルや椅子などの飲食設備を使って飲食した場合は、外食扱いで軽減税率の対象にならない。 「新聞」については、軽減税率の適用条件に「定期購読契約の締結」が含まれるため、新聞販売店などと契約して定期購読していれば軽減税率が適用されるが、コンビニや駅の売店などで購入した場合は対象外。インターネット配信による電子版の新聞は、たとえ定期購読契約を結んでいても適用されない。財務省主税局によると「ネット上には新聞社だけでなく、さまざまな有料媒体がある。それらをどの程度カバーするのかの線引きが難しいため、軽減税率の適用が見送られた」ためだ。 このほか「水」をめぐっても、スーパーなどで市販されるミネラルウォーターは飲料食品として軽減税率の対象だが、蛇口から出る水道水は対象外。水道では、炊事や飲むための「食品の水」と、風呂や洗濯といった「飲食以外の生活用水」が一体となって提供されるためだという。
「持ち帰り」と「店内」の価格対応、各社で分かれる
外食産業のうち、持ち帰り販売の多いファストフード業界の中には、店内飲食と持ち帰り商品の価格を同一にする会社が相次いでいる。 「天丼てんや」を展開するロイヤルホールディングスは、10月1日から看板商品の「天丼」「上天丼」を含む複数商品について、従来の税込み価格に据え置くとともに、店内飲食と持ち帰りを同一価格にして販売する。 これら商品の店内飲食については、税率10%になっても税込み価格が据え置きになるよう、税抜きの価格を値下げした。たとえば税込み540円の「天丼」の場合、持ち帰りの税抜き価格は従来通り500円だが、店内飲食では持ち帰りより9円下げて491円とした。これに消費税10%分を加えると、持ち帰りと同じ540円になる。 同社企画経営部によると、「『天丼』は、お持ち帰りの天丼弁当を含めると売上の約4割弱を占めている。また初めててんやを利用される方にとっても、まずスタンダードな『天丼』を注文される方が多いので、価格を据え置いた」としている。 同社は2018年1月、原価や物流費の上昇を受け、やむなく「天丼」の税込み価格を500円から540円に値上げした。消費者からは、値上げを残念がる声も多数寄せられたらしく、この度は価格をすえ置いて需要を維持したい狙いがある。 丼もののファストフードでは、牛丼などを販売する「松屋」も、主力の「プレミアム牛めし」「牛めし」の店内飲食と持ち帰りの税込み価格を同一にしている。 一方、牛丼の「吉野家」は、税率が変わっても商品そのものの価値は変わらないとして、店内飲食には消費税10%、持ち帰りには同8%を適用する。 ハンバーガー各社も対応が分かれる。日本マクドナルドは、全商品で店内飲食と持ち帰りの価格を従来通りと同一にする。日本マクドナルドホールディングス広報部は「店内飲食と持ち帰りとで価格が変わるのは、お客様にとって分かりにくく、説明も難しい。お客様の年齢層も幅広いため、どうすればお客様にとって分かりやすいかを社内で検討を重ね、同一価格を採用した」という。 これに対し、ロッテリアは、店内やサイト上での表示価格をこれまでの税込み価格から税抜き価格に変更。その上で、店内飲食は消費税10%、持ち帰りは8%として販売する。モスバーガーは、表示価格を「本体価格プラス税」に統一するとともに、ロッテリアと同じく店内飲食は10%、持ち帰りは8%とする。両社とも、こうした価格表示の採用によって、店内飲食と持ち帰りの価格の違いを消費者に分かりやすく伝えたい考えだ。