ISSから帰還 宇宙飛行士の油井亀美也さんがトークイベント(全文3)
宇宙との関わり方には、どんなものがあるのか?
樋江井:これから、そのほかの関わり方ってあったりするんですか、井田さん。 井田:そうですね。今、きぼう日本実験棟では民間企業の方や大学、研究機関、いろんな方々が参加して実験を行っています。例えば、紹介ありましたけどタンパク質実験っていって、新しい薬を、難病を解決するような薬を作る実験だったり、あと、きぼうの外の環境を使って小型衛星、地球観測とかをするための小型衛星を放出したりっていうことで今、民間の利用を進めてるところです。で、特にもう最近はみんながきぼう日本実験棟を使いたいっていう声に応えるために、いろんな機能を充実させようと頑張っているところです。 例えば小型衛星、今まで2~3キロぐらいの10センチ掛ける数十センチの大きさのものだったのを今、50キロぐらいまでちょっとだけ大きく、大きい衛星を放出できるようにしたりであったりとか、今タンパク質結晶生成実験であっても、今、20度っていう環境での実験やろうと思ってたのを4度まで下げて実験できるようにいろんな、みんながきぼうを使いたい、こういうふうに使いたいんだっていう声に応えるために頑張って今、取り組んでるところです。そういう機会があればもう皆さんどんどん積極的に使っていただけるんじゃないかと、関わっていけるんじゃないかと。 樋江井:どんどんISSの使い道が増えてくると、企業が使いやすくなってくる。また、研究者も使いやすくなってきますよね。 井田:そうです。もう大学もありますんで、もう皆さんが大学になって、大学生になって衛星とかを作るような研究室に入ったらもう、きぼう日本実験棟を使う機会が本当にあると思います。 樋江井:そう考えると地上にいてもがんがん宇宙に関われますね。 井田:はい。もうぜひぜひ。 樋江井:でも、やっぱりちょっと気になるのが、地上から関わるのも楽しいんですが、実際に宇宙に行ってみたいなとも思うんですよね。たぶんここにいる会場の皆さんも宇宙に行きたい人って結構いると思います。例えば今だったら歌手のサラ・ブライトマンさんだったりとか、高松聡さんっていう方が宇宙に行こうとしてるんですけれども、民間人が宇宙に行く可能性ってこれからあったりするんでしょうか。 油井:そうですね。これからやっぱりどんどん増えてくるんじゃないかと思いますし、そうでなければいけないというふうに思ってます。宇宙飛行士の仕事の1つとして、当然宇宙実験なんかもやってますけれども、やっぱり将来的には人類が、さらに多くの方々が宇宙に飛び出して、そして人類の活動の場をどんどん広げていくっていう、その先陣を切るような形の仕事も兼ねてますので、私たちの開拓した結果、やっぱり多くの方々が行けるようになるんじゃないかなと、なんなきゃいけないなと思ってますけど。はい。 樋江井:では、今ISSを開拓してて、もしかしたら将来的にISSに民間の人も行けるかもしれない。 油井:そうですね。今はすごいお金が掛かって、選ばれた方しか宇宙旅行は行けないですけれども、アメリカの企業なんかも宇宙旅行できるようにいろんな会社の方々が宇宙船を造ろうとしてますし、そういうところも進んでいけば、もう最初は弾道飛行みたいな、宇宙にちょうど届く、先ほど100キロが宇宙って言いましたけど、そこに行ってくるというところから、だんだんそれが高くなっていくっていうこともあるんじゃないですかね。 樋江井:なるほど。ありがとうございます。とすると、いろんな人が宇宙に行けちゃうとすると、油井飛行士、失業しないですか。だって。 油井:いやいや、そうですね。それはちょっと困りますね。でも、実は皆さんがたくさん軌道上、ISSと同じような400キロであるとか、それよりも低いところにたくさん飛べるようになるんであれば、私はもうちょっと遠くの、ほかのところで仕事を探したいなと思います。 樋江井:ほかのところで。 油井:はい。やっぱり私自身、子供のころからの夢ですけど、個人的な夢ですけれども、やっぱり遠くに、どんどん遠くに行きたいと。で、その遠くに行くっていうのは、もう人間の本能だと思ってるので、はい。できればまずは地球がまん丸に見えるところ。今は地球全体が見えないですけども、地球がまん丸全部見えるところ。そしてさらに言うと、地球が点になってしまうようなところまで行ってみたいなと思ってるんですけどね。 樋江井:野望があるんですね、これから。 油井:はい。 樋江井:なるほど。と考えると、なんか宇宙の関わりって別に宇宙飛行士たちだけで限定できるものではないですよね。ていうのは、地上にいる井田さんがいて、宇宙に行く油井さんがいて、で、民間人の方がこれから入ってきたりとか、企業の方がこれから入ってきたりとか、もう本当にみんなで宇宙の、どんどん切り開いていく。そんな時代がこれから来るんじゃないかと私は実感しました。 油井:そうですね。本当にそのとおりだと思います。今はもう理系の人しか宇宙飛行士になれないですけど、やっぱり芸術家の方々も来て、その感動を地球に伝えてほしいですし、いろんな才能が必要って言いましたけれども、ぜひ皆さん、宇宙目指して頑張ってください。 樋江井:そうですよ。皆さんも宇宙を切り開く貴重な人材ですので、ぜひ頑張ってみてください。はい。で、ここでもう私ばっかり質問してて、ちょっと会場の皆さんからもうそろそろ質問をやめてくださいってオーラが感じるので、そろそろ質問タイムにいきたいと思います。ここに豪華2人、油井さんと井田さんがいるので、これから皆さんに質問してもらうんですが、事前にそもそも質問を集めてたんですよね。