花粉症の根治を目指す―“舌下免疫療法”を今から始めるべき理由
梅雨が明ければ夏がやってくるが、花粉症の治療に携わる医師たちは「この季節こそ花粉症の根治に向けた治療を始めるべきだ」と口を揃える。実際に、いまの時期から始めると効果が期待できるのが“舌下免疫療法”だ。その治療内容や気をつけるべきことを、年間約1000例の舌下免疫療法患者を診察しているイーヘルスクリニック新宿院(東京都新宿区)の天野方一院長に聞いた。
◇花粉症の根治を期待するなら有力な選択肢
舌下免疫療法は、1日1回、薬を舌の下で溶かして成分を体内に吸収させるだけという手軽な治療法だ。天野氏は、「舌下免疫療法は、注意点などを守って正しく治療が行われると、花粉症の特徴的な鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状を治したり、抑えたりすることができるといわれています。また症状が完全に抑えられない場合でも、症状を緩和し、薬の量を減らすことができるとされています。」と説明する。 その治療効果も高い。「当院で舌下免疫療法を受けている患者さんでも、これまで花粉症の症状に苦しんでいたのに、治療を開始したことで薬を使用せずに快適に過ごせるようになったとういう方がたくさんいらっしゃいます。根治を期待するなら舌下免疫療法は有力な選択肢です」と天野氏は強調する。
◇3~5年の治療で、薬を使わない生活が期待できる
「舌下免疫療法は3~5年ほど継続することで、将来的には薬を使わずに快適な生活を送ることが期待できるといわれています。」 イタリアで行われた15年間の追跡調査*によれば、ダニの舌下免疫療法の最適な治療期間は4年であることが示唆されている。具体的には、治療終了後、3年間治療した場合は7年間効果が持続し、4年間もしくは5年間治療した場合は8年間効果が持続する、といった結果が報告された。 しかし、この結果を日本に当てはめるにはいくつかの問題があるという。 「この研究はダニアレルギーに焦点を当てており、日本ではスギ花粉アレルギーが主要な問題であるという点です。さらに、使用された治療薬の投与量や投与方法が日本と異なるため、結果を直接適用することは難しいでしょう。」 日本での花粉症の舌下免疫療法では、現時点では最低でも3年間の継続が必要であると考えられているという。天野氏は「患者さんの状況に応じて5年の治療を推奨する場合もあります」と言う。