ISSから帰還 宇宙飛行士の油井亀美也さんがトークイベント(全文3)
お互いを助け合ったというエピソードは?
樋江井:なるほど。ちなみに、お互いを助け合ったぞ、みたいなエピソードってありますか。 油井:そうですね。じゃあ、私のほうから紹介しますけれども、私はやっぱり1人で仕事をするのはさみしいんで、やっぱりなるべくチームとして仕事をしたいっていうのは常に感じてましたから、よくビデオをわざわざ私が仕事してるところに向けて、で、地上のサポートをしてもらいながらやったんですよね。そうすると地上も私がやってること分かるじゃないですか。だから、見ていてくださいと。 そういうふうにやると実は間違えやすいポイントってあるんですよね。手順をやっていても。非常に細かい作業が連続して何時間も集中してやっていかないといけないんで。そういうときに地上が私がその難しいところにさしかかったところで、その直前に、油井さん、ここ難しいところです、ちょっとここ、気を付けてくださいねっていうような指示が来たりとか、あとは私も実は宇宙で結構難しいのが、物を止めておくことなんですよ。 これ、例えばこのマイク、ここに机に置くことができるじゃないですか。で、重力があるからここに止まってますけど、摩擦もあって。宇宙だといろんなものがどんどん、いろんなとこに飛んでっちゃうんですよ。で、私が固定しといたつもりの道具が、実はふわって浮いてっちゃうことがあるんですよね。そういうときに、地上から、あ、油井さんの、その、なんですかね。ドライバー、飛んでってますけどみたいなことを言ってもらうと、お、危ない、危ないみたいな。 樋江井:それがどっかいったらね。なんか。 油井:そうです。なくなると仕事。 樋江井:破損しちゃうかもしれませんからね。 油井:はい。仕事できなくなっちゃいますから。 樋江井:なるほど。そういうときに。 油井:おお、助かった、みたいな。 樋江井:地上の人が見守っててくれて、危ないよって言ってくれる。 油井:はい。そうなんですよね。助かりました、非常に。 樋江井:逆に井田さんのほうは油井さんに助けられたっていうことありますか。 井田:はい。油井さんしょっちゅうコミュニケーションを取るのが大事だとおっしゃってますけど、もう積極的に地上に対して今、JAXA、きぼう日本実験棟の管制チームの状況を確認してくれたり、あと、追加で今、こういう作業をやったほうがいいでしょうかとか、提案してくれたり、質問してくれたりしてくれたおかげで、いくつか、先ほど紹介ありましたけど、宇宙飛行士の作業は分刻みで決まってるんですけど、その空き時間を使って追加で作業をしてくれたりしたことが非常に役に、もう助かりました。宇宙飛行士の時間というのは非常に貴重なので、基本、NASAが全体取りまとめなんですけど、そのNASAにこれからその追加作業をやらしてくださいっていう調整する手間とかが大きく削減されて、本当に助かりました。 樋江井:油井さんがちょっと業務頑張って、さらにプラスアルファでやるっていうことはワーカホリックですね、完全に。 油井:そうですね。でも、私も日本人、典型的な日本人で、ここにもお父さん、お母さんいますけど、仕事好きでいっぱいやりますから、そういった意味でも日本人らしい仕事ができたのかなと思いますけど。はい。