娘への虐待疑われた男性に“逆転無罪” 3年8か月取材を続けた"弁護士記者”が見た刑事司法の問題
■狭い独房に閉じ込められた「必要以上の不自由」
【吉原キャスター】5年半に及んだ拘留期間。その中で何度も接見取材を行った上田記者。中でも印象に残ったこととは。 【上田大輔記者】「今西さんに接見していて思ったのは、“必要以上の不自由”なのかなと思いました。拘留される理由は、逃亡や証拠隠滅するおそれがあるということですが、拘置所にいる限りは逃亡や証拠隠滅はできない。 でも彼は狭い独房の中にずっといなければいけなかった。中からはもちろんドアを開けられない、閉じ込められている。『ここまでされる必要があるのか』と話していました。 5年半の拘置所生活によって、1.2以上あった視力が今は0.05になっているんですね。ずっと座って本を読んでいたと言っていたのですが、体もかなりボロボロになって、歯もかなり悪くなったりして、拘置所生活の過酷さがうかがえました」 【吉原キャスター】保釈が決まったのは2審の判決が出る前、今年の7月でした。そこからの4カ月間は、どのような生活を送っていたのかも気になります。 【上田大輔記者】「ここもかなり辛いと(今西さんが)話していたのですが、私は“被告人であることの苦しみ”を感じました。保釈について周囲から『自由になれて良かったね』と声をかけられたそうですが、でも本当に自由なのかなと。被告人であることは変わらないわけです。 一審で実刑判決を受けているわけですから、もし控訴棄却になったら連行されます。常にまた拘留されるかもしれないという苦しみをずっと抱えている。全然自由ではないというのを感じました」 【吉原キャスター】また、保釈後はGPSの装着を義務づけられていたといいます。 【上田大輔記者】「GPSは保釈条件として、どこにいるかというのを、弁護団が把握して、それを全部裁判所に報告しないといけなかった。これもかなり本人としては不自由な話。 あと、誰と会ったなど行動を報告しないといけなかったので、道でたまたま知人に会ったら、何時何分に会ったというのをメモしていて、かなり窮屈な生活だなと。それが辛くて、ほとんど自宅で過ごしていたと聞いています」
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