娘への虐待疑われた男性に“逆転無罪” 3年8か月取材を続けた"弁護士記者”が見た刑事司法の問題
■2審の判決を前に保釈が認められる異例の判断 保釈条件は行動監視「早く解放されたい」
その後、今西さんは控訴。 法廷での争いは続きましたが、ことし7月、ある異例の判断が出されます。 【今西貴大さん】「荷物ヤバイ」 2審の判決を前に、今西さんの保釈が認められることになったのです。 拘置所の外に出るのは、およそ5年半ぶりでした。 拘置所から自宅へ向かう車内で…。 【今西貴大さん】「ここ拘置所らへんでしょう?さっきまでここにおったんや」 1審で懲役12年の判決を受けた被告人の保釈が、判決の前に認められた前例はほとんどありません。
■保釈中はGPSで常に居場所を監視
【今西貴大さん】「これがGPS。いつも首からぶら下げているんですよ。外行くときに」 首には、常に身に着けているGPS。 保釈の条件として、行動を監視されながら生活を送っていて、自由の身というわけではありません。 【今西貴大さん】「早く解放されたい。刑事裁判、長いの本当しんどいから。早く判決をというよりも、早く解放を。毎日こんなんつけとかないと、あかんねんもん」
■「こいつ黒やと思われたら、白に塗り替えるのは無理やと思う」
長い裁判を通じて、刑事司法のあり方に疑問を持った今西さんは、拘置所の中で法律の勉強を始めました。 新しい人生に向け歩みだす一方で、取材の中でもらしたのは、“一度、逮捕・起訴された人にしか分からない想い”です。 (Q.自分がやっていないということを、どう伝えたい?) 【今西貴大さん】「やっていないことを伝える?伝えられへんでしょう。一回やったかもしれへんって伝わってんねんから。もう考えたこともなかった。だって無理やと思うもん。 こいつ黒やと思われたら、白に塗り替えるのは無理やと思う。 身近な人だけ分かってくれていたら、それでいいと思う」
■有罪判決に備え拘置所での着替えや本を持参し判決に臨んだ
そして、2024年11月28日。 【今西貴大さん】「おはようございます」 弁護士事務所に現れた今西さんは、万が一、有罪判決が出て拘置所に戻らなければならなくなった時に備えて、着替えの服や本などを、かばんに詰めてきました。 【今西貴大さん】「きのう川崎先生から電話かかってきて、『俺の中のジンクスで、準備していることは絶対に起こらない。だから嫌やけどちゃんと詰めて持ってきて』って」
【関連記事】
- ■「娘と僕は本当の親子。僕は無実」2歳義理の娘「虐待死」など問われた父 一審の懲役12年から『逆転無罪』勝ち取る「独房で過ごした5年半。闘い続けて良かった」
- ■2歳娘の「肛門付近の傷」異物挿入か?自然排便か?二審で異例の医師尋問行われる 傷害致死などに問われている『今西事件』
- ■“冤罪”で12年服役の女性「ひきょうなやり方をするんだな」 ウソの自白させた警察官が法廷に 捜査の正当性をかたくなに主張
- ■「限界ニュータウン」新築時2600万円が113万円 「だまされたとは思わないけど…」 “バブル期”開発 街から離れ病院も学校もなく
- ■中学教師が「セックス」指導 “コンドームの付け方実践”や“出産シーン鑑賞”に挑戦 「先生セックス何回したことある?」なんて質問も