娘への虐待疑われた男性に“逆転無罪” 3年8か月取材を続けた"弁護士記者”が見た刑事司法の問題
■「主文、被告人は無罪」
逮捕から6年、ついに迎えた2審判決。 【石川恭司裁判長】「主文、被告人は無罪」 無罪が言い渡されると、涙をぬぐった今西さん。 大阪高等裁判所は傷害致死罪について、「頭にけがを残すことなく、交通事故に匹敵するほどの外力を加えることができるかどうかは、常識に照らして相当、疑問がある」としたうえで…。 「被告人の供述や被害児の母親の証言を通じてみても、被告人が身体的虐待を加えていたことを示す事情は、見出せない」などとして、逆転無罪の判決を言い渡しました。
■「判決の主文は無罪でしたが、僕は無実です」
【今西貴大さん】「判決の主文は無罪でしたが、僕は無実です。いわれなき罪を着せられ、刑事裁判の当事者となった僕は、人質司法・当事者に対する偏見。日本の刑事司法が抱える問題を、表と裏の両方から経験しました」 「やっぱり法廷で、弁護団の背中を見て、すごく頼もしいし、かっこいいなと思った。それで法律の勉強を始めたんですけど、やっぱり川崎先生にみたいな刑事弁護人になりたいなと思っています」 無罪判決を信じ、戦い続けた6年。 しかし、無罪を言い渡されても、失った元の生活が戻るわけではありません。 今西さんの取材を続けている記者がみた4年間の取材。 そこから見えたことをスタジオで話します。
■長きにわたり接見取材 弁護士資格を持つ記者が解説
【吉原キャスター】逆転無罪が言い渡されたこの裁判。長きにわたって今西さんを取材してきた上田大輔記者に話を聞きます。 28日の裁判で、無罪判決が出た瞬間の今西さんはどんな様子だったのでしょうか? 【上田大輔記者】「今西さんはあまり不安な様子を見せないタイプなんですが、前日は自宅で涙を見せていたらしく、やっぱり、かなり不安だったと思います。 判決で無罪と言われた瞬間に、隣に座っていた秋田弁護士の方を向き、握手をかわし、涙を拭っていました」 この裁判について、菊地弁護士は次のように見解を述べました。 【菊地幸夫弁護士】「非常に多くの医師がこの裁判にかかわっている。非常に難しい裁判だったんだと思います。医師たちの多くの見解を重ねていかないと、一審の結論(有罪判決)が出ないというのは、それだけ有罪の見込みが薄く、かなり危うい裁判だった。その中で長期の拘留が続いたことはかなり問題だと思います。 医師の見解が中心の裁判ですから、今西さんを保釈しても証拠隠滅はできない。だったら、身柄の拘束を受けずに裁判を行う。これは国連の人権に関する規約でもそれは原則です。これはだいぶ、反省点を残す裁判だといえると思います」
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