兵庫県・斎藤知事の“パワハラ疑惑”で設置…「百条委員会」の強大な“権限と機能”とは!? 元議員の弁護士に聞く
百条委員会は設置だけでも「事実上の制裁」に
百条委員会が設置されるだけで、対象者に対して絶大な威力を発揮するという。 三葛弁護士:「百条委員会は強大な調査権限を持つので、設置されること自体、社会に対し『この問題は重大だ』と印象付けることができます。 百条委員会を設置しなければならないケースは、刑罰による制裁を背景としてでも究明しなければならない重大な疑惑があるということを意味します。それだけに、百条委員会が設置されてそこに呼ばれるだけでもマイナスイメージを与え、事実上の制裁を加える効果があります。 百条委員会を設置するのは過半数の議決があれば可能です。しかし、このような強力なものなので、発動する側も相当自重します。 世論が問題視していない場合に、百条委員会が設置されることはまず考えにくいといえます。刑罰を背景としてまで調査権を行使していいのか、という緊張感が議員の側にあるのです。 ちなみに、私は市議会議員を3期10年務めましたが、在職中、一度も百条委員会が設置されたことはありません。それほど稀で、よほどのことといえます」
百条委員会が機能した例は?
百条調査権が実際に行使され、実効性を挙げた例として、三葛弁護士は、2017年の東京都の「豊洲市場問題」を挙げる。 東京都の築地市場の移転先が豊洲に決まった経緯をめぐり、東京都議会が百条委員会を設置し、市場の移転を決めた当時の都知事だった石原慎太郎氏(故人)の証人喚問等が行われた。 三葛弁護士:「築地から豊洲への移転が決定された経緯、市場の用地の買収価格の決定過程、土壌汚染の処理費用の免責などに関する資料が提出されました。 また、都議会が元副知事ら2名を偽証の疑いで刑事告発し、受理されました。最終的に不起訴にはなりましたが、何が問題だったのかを世に広く知らしめることになりました。 なお、証人喚問された石原元都知事についても、『記憶にない』『副知事らに一任していた』などの答弁を重ねる様子が報道され、イメージダウンになりました。 この例から、百条委員会に呼ばれるだけで大きなダメージを受けることがよくわかります」