メルセデスの超高級ミニバンはどれだけ豪華? 新型Vクラスの「プラチナムスイート」に試乗
■高級感は申し分ないが… 車内全体を見渡せば、上質なナッパレザーをふんだんに使っていて高級感は申し分なし。アルミニウムのインテリアトリムとアンビエントライトがアクセントとなっていて、高級感の中に引き締まった印象を与えることにも成功している。デザインバランスは絶賛したい。しかし、使い勝手の面では気になる点がいくつもあった。
走りについては、商用車ベースなので仕方ないことだが、滑らかでスムーズな走りを堪能することは難しかった。サスペンションには「AIRMATICサスペンション」を新たに採用し、滑らかな乗り心地を実現したというが、絶賛したくなるほどの乗り心地ではなかった。 Vクラスのライバルは国産の高級ミニバン勢となるはずだが、使い勝手の面からいえば、Vクラスにはもう少しがんばってほしいというのが正直な感想だ。質感の高さは文句ないが、かゆいところに手が届いていない。例えばトヨタの高級ミニバン「ヴェルファイア」であれば、最上級グレードを選んでも価格は892万円からで、上質な居住空間を満喫できて、使い勝手も申し分ない。
ベンツというブランド価値には揺るぎないものがあるし、Vクラスのエクステリアはかなり好み。買えるのなら買いたいという気持ちもある。 それだけに、もしも本当に購入するならという視点で実物に触れてみると、細かい部分が気になってしまった。ましてや1,000万円を超える価格ともなれば、ユーザーが多くを求めても無理はない。今後、日本のミニバン市場でVクラスが生き残っていくには、細かい部分をブラッシュアップしていくことが必須となるだろう。
■ 室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。
室井大和