「USBケーブルを舐めたい」0歳児。怒る姿もかわいい! 子どもとのかけがえのない時間を描いた癒やされ必至の子育てエッセイ【書評】
かわいらしい子どもの言動を見ると、ほっこり温かい気持ちになれることが魅力の育児エッセイ。子どもたちとの日々を丁寧に描いた、じゃんぽ~る西さんの育児エッセイ『理想の父にはなれないけれど』(KADOKAWA)も、子育ての大変さに共感でき、子どもの可愛さに癒される作品だ。 【漫画】本編を読む
自分は一般的に日本で思われている“理想の父親”ではないと思いながらも、愛情いっぱいに子育てするじゃんぽ~る西さん。フランス人ジャーナリストの妻との間に2人の男の子を授かり、日々育児に奮闘している。本作は、そんなじゃんぽ~る西さんが子育てを通して感じたことや子どもたちのかけがえのない時間をオールカラーで丁寧に描いている。 独身時代は、働きながらの子育てを見て大変そうだと思っていたじゃんぽ~る西さん。しかし、自分も父になったことで、その過密スケジュールを実際にこなすことに。夕方から夜にかけては奥さんとの見事な連携プレーで、お互いが子どもの対応をしている間にできることを済ませていく。子育て中の人にとっては当たり前のスケジュールなのだろうが、当事者以外からするととても大変そうに感じるだろう。
特に0歳児の育児は大変だ。明日も仕事なのに、夜泣きで全然親を寝かせてくれない。どんなにかわいい赤ちゃんでも、親はボロボロになってしまう。しかし、じゃんぽ~る西さんは、そんな0歳児のケアが楽しいというのだ。 感触を確かめるためにUSBケーブルを口に入れようとしたのにそれを止められたことで、ブルブル震えて怒る次男(0歳児)。そんな次男をかわいいと思って笑顔になっている姿を見ると、こちらまでほっこりさせられる。大変な育児の中にもこうした小さな喜びや楽しみを見つけて向き合う姿勢は、思わず見習いたくなる。
じゃんぽ~る西さんだけでなく、奥さんの育児にも見習いたいと感じることがある。それは、子どもがあまりにも酷いいたずらをしたときの対応だ。ティッシュを全部出してまき散らす、目を離した隙にキッチンを油まみれにするなど、子どもの悪質ないたずらは枚挙にいとまがない。実際に被害に遭うと、心から絶望してしまうだろう。 しかし、そんな時、じゃんぽ~る西さんの奥さんは爆笑するというのだ。もちろん最初は叱るのだが、それがあまりにも酷いと笑いだしてしまうという。確かに、子どものしつけで家の中が険悪な雰囲気になるより、その酷さを笑い飛ばしてしまった方がよほど心に良い気がする。みんなで笑った後、一緒に片付けをすればそれも思い出のひとつになるのではないだろうか。