交通事故で脊髄損傷、国が定めたリハビリ期間180日で退院迫られる実態…最長2年のモデル事業で支援検証
交通事故の被害者支援に取り組む独立行政法人「自動車事故対策機構(ナスバ)」(東京)によると、自宅療養に切り替えた結果、機能の改善や在宅復帰が遅れるケースが起きているという。久留米リハビリテーション病院を運営する法人の柴田元理事長は「リハビリ機会の確保や患者家族への支援を考えると、半年間ではとても足りない」と打ち明ける。
事故被害者側からリハビリ環境の整備を求める要望などを受け、国交省は23年2月、重度脊髄損傷者の中長期入院に関する基準を策定し、その中でナスバを実施主体とする今回のモデル事業の導入を決め、昨春から事業が始まった。
事業では、同じ病院で治療やリハビリを一体的に提供し、最長2年間の入院ができるように費用を支援する。リハビリとともに在宅復帰に向けた相談支援やカウンセリングの強化も行っている。ナスバの担当者は「患者や家族にどんな支援が必要なのか、事業の本格化に向けて検証を重ねていきたい」としている。