トランプ氏が共和党内で「敵なし」になったきっかけは、自身への「刑事訴追」だった 被告人の立場を最大限に有効活用 一方で「ボディーブロー」になるかも…【混沌の超大国 2024年アメリカ大統領選(4)】
ブルームバーグ通信はトランプ氏の総資産が約31億ドルに上ると推定している。他の米メディアもトランプ氏に賠償金などを支払う能力があり、敗訴しても「破産する可能性は低い」(ワシントン・ポスト紙)とみる。 また上訴審で争い続ければ、原告への支払いは先延ばしにできる。だがその間、裁判所にほぼ同額の現金を預けるか、保証会社を利用して保険料を支払い、担保を提供する必要がある。一時的にでも資金繰りに影響を与え、民事での敗訴がボディーブローのように響いてくるかもしれない。 打撃の大きさが垣間見えたのは女性作家への名誉毀損で賠償命令が下された直後。トランプ氏は声明で「バイデン(大統領)が指示した私と共和党への魔女狩り」と批判しながらも、それまで審理でも「うそつき」呼ばわりをしていた女性作家への言及は避けた。 巨額の賠償額を意識し、さらに名誉を傷つけたと受け取られないように慎重にならざるを得なかった事情をうかがわせ、米主要メディアはそろって「攻撃を控えた」と驚きを持って伝えた。