秋発売のスズキ「フロンクス」は走りにちょっと上級感!? 辛口モータージャーナリストがホンダ「WR-V」と乗り比べてみました
接地感を手のひらで感じられるステアフィール
今回の試乗では、速度制限と原則としてタイヤのスキール音を生じさせないといった条件が求められていたことから、操縦安定性に関しての評価範囲は限られていたが、その中で感じ取れたことは、このクラスとしてステアリングは操舵力、手応えともに重めなことで、それもあってスーと向きを変えるような軽快感よりも、接地感を手のひらに感じながらノーズの向きを変えていく感覚が強いことだった。 ここは、フロンクスの走りをまとめた開発ドライバーが、「完全に私の好みで決めさせてもらいました」とのこと。これを聞いた時に「そういうのが大事」と思ったのは、走りにもキャラクターを持たせることが大切だと思っているからだ。 ただ、最近の欧州車も含めて操舵力がどんどん軽くなってきている傾向の中では、走り出した直後は、ステアリングが重めだなと思ったのも事実で、ウエット路面では安定感として捉えることができる一方、ドライ路面になってくると、手応えのしっかり感と、ちょっと重いなという印象が混ざることがあった。 FWDと4WDの違いに関しては、車重差が60kgに過ぎないのだが、4WD仕様はわずかだが動き出しに重い感じをもたらす。4WDはプロペラシャフトで後輪へ駆動を伝えるベーシックな機構で、前後の駆動力配分もビスカスカップリングによる。だが、4WD仕様にはヒルディセントコントロールまで備わるなど、配慮も行き届いている。 ヘビーウエット路面からの試乗開始だったこともあり、上り勾配にタイトターンも多いこのコースでは、トラクションは圧倒的に4WDが優れていたのは言うまでもないし、安定して走りやすかったのだが、路面が乾いてくるに従い、FWDの素直なハンドリングが好感をもたらすようになってくる。 ただし、FWD仕様においては、ドライ路面でもコーナーへの進入、あるいは旋回中にも、明らかにまだ安全圏と思えるところで、過剰にESCによるブレーキ制御と出力制御が介入してくることを多く経験した。開発ドライバーも「このコースでその現象は現認できているので、制御を含めて確認する」とのことだった。こういう時、発売まで間があるのは幸いというべきだ。
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