だいたひかるが罹患した細菌感染症「蜂窩織炎」とは 予防法・症状を医師が解説
蜂窩織炎の受診科目
編集部: 蜂窩織炎のような症状が現れたら、何科を受診すればいいでしょうか? 武井先生: 蜂窩織炎のような症状が現れたら、皮膚科を受診してください。特に顔や足のすねや甲などの皮膚が赤く腫れて熱感が出たり、ぶつぶつが出たり、痛みが出たりしたら、蜂窩織炎の可能性がありますので、できるだけ早く受診しましょう。 2日以内に急速に広がる恐れがあります。頭痛や発熱、悪寒や倦怠感などが現れたり、リンパ節が腫れて炎症が起きたりすることもありますので、早期に治療を開始しなければなりません。
蜂窩織炎の検査
編集部: 蜂窩織炎が疑われる場合、どのような検査を受けますか? 武井先生: 基本的には病状や病歴の問診、患部の視診で診断されます。ただ、症状が重い場合は血液検査で白血球数を見たり、炎症反応の数値であるCRPを見たりします。 また、原因菌を特定するために培養検査を行うこともありますが、膿がない場合が多いため培養で細菌を検出することは困難です。 血液を用いた培養検査やグラム染色などの検査が行われることもありますが、原因菌の大半は黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌であるため、めったに行われません。 編集部: 似た症状の疾患はありますか? 武井先生: 似た症状の疾患には、壊死性筋膜炎があります。皮下組織などで壊死を起こす感染症であり、死亡率が高いためとても危険です。蜂窩織炎のような症状が現れた場合、万が一壊死性筋膜炎という可能性もあるので、できるだけ早く医師の診察を受けることが重要です。
蜂窩織炎の治療
編集部: 蜂窩織炎の治療をする場合、どのような治療方法がありますか? 武井先生: 蜂窩織炎の治療は抗菌薬の服用が基本です。原因菌の大半は黄色ブドウ球菌と化膿レンサ球菌であるため、どちらにも有効なジクロキサシリンやセファレキシンなどの抗菌薬が一般的に使われます。 抗菌薬によって、通常は数日で症状は治まっていきますが、いったん悪化することもあります。薬は必ず医師に処方されたものを使いましょう。抗菌薬の治療は10日以上の継続が必要です。 また、腫れや不快感を抑えるために冷たく濡らしたドレッシング剤や氷などを患部にあてがったり、下肢が感染した場合は患部を高い位置に固定したりします。 治療の遅れなどによって、頭痛や発熱、悪寒や倦怠感などの症状が出ている場合には、抗生剤の静脈内注射や点滴が行われることもあります。また、膿瘍ができた場合は切開手術で膿を取り出さなければなりません。 編集部: 蜂窩織炎の合併症など、ほかに気をつけた方がいいことはありますか? 武井先生: 合併症として皮膚の壊死性感染症や、細菌が血流中へ拡大する菌血症などを起こすことがまれにあります。 また、同じ場所に何度も蜂窩織炎を発症すると、リンパ管が損傷してリンパ浮腫や慢性リンパ管閉塞になってしまうこともあるので注意が必要です。蜂窩織炎は再発しやすいので、しっかり予防しなければなりません。