自称・炎上隊長の長友がロシアW杯のキーパーソンとなる理由とは?
日本代表がオーストリアのゼーフェルトに入って2日目、6月4日の練習後のことだ。ミックスゾーンで長友佑都と報道陣の間で当たり障りのない質疑応答が2、3回続いたあと、ある記者が切り出した。 「ちょっと意地悪なことを聞くけれど、メンバー選考が終わって、ベテラン勢が多いことに対して……」 すると、長友がすべても見通していたかのように「だいたい分かりますよ」と苦笑しながら、こう切り返した。「たぶんもう、最初から聞きたかったんでしょ。もう焦らしながら、焦らしながらだからだいたい分かるよね。いつ来るんだって(笑)」 ことの発端は5月31日に発表された日本代表23人の選考にある。 ヨーロッパのリーグで結果を残した久保裕也、中島翔哉、堂安律といった若手が軒並み選外となり、コンディションに不安を抱えるベテランが選出されたことに、メディアやサッカーファンの間で疑問の声が高まっていた。 そんな風潮に対して長友が、自身のSNSで「年齢で物事判断する人はサッカー知らない人」と発信したことに、批判的な声が殺到したのだ。 大会開幕時における日本代表の平均年齢は28.3歳で、これは過去最高齢となる。日本代表の未来を憂うメディアやファンの懸念は、いたってノーマルなものだろう。 むろん、長友もサッカーファンを傷つけるつもりはなかった。経験を積んだベテランの存在がいかに重要か、そして、長友自身31歳で今大会を迎えるが、衰えるどころか今が一番良い状態だという想いが強すぎて、誤解を招いてしまったということだろう。 「僕はただ代表の炎上隊長として、自分の意見はパッと言って、それでいろんな意見が出るのは普通のこと」 そう言って報道陣の笑いを誘ったあと、長友は真意を語った。 「年齢のことを言われていますけど、僕は今が一番若いと思っている。年を取った分経験を重ねてきましたけど、自分が一番動けると思っているし、そう思いながらトレーニングをしている。だから年齢のことは、みなさんが言うほど、僕は気にしていないところがあります」 実際、国内合宿、ガーナ戦、ゼーフェルト合宿での様子を見る限り、長友はコンディション、メンタル面ともにかなり良い状態のように見える。動きには「キュッ、キュッ」という音が聞こえそうなほど機敏さがあり、積極的に声を出し、リーダーの風格も醸し出している。 ミックスゾーンでの受け答えからも自信が伝わってくるが、それでいて落ち着いてもいる。「今が一番若い」という言葉は、たしかに強がりには聞こえない。 「自分はまだまだワールドカップでステップアップしたいと思っているし、ギラギラした気持ちを持ってワー ルドカップに臨みたいと思うんですよ」 そんな野心をたぎらせる長友が、今大会における日本代表の重要なキーパーソンになりそうだ。というのも、今大会の対戦相手はいずれも、右サイドに強力なアタッカー、サイドのスペシャリストを揃えているからだ。