甲子園でG倒決勝2ラン…阪神ボーアの覚醒は本物か?
確かに甘い半速球を仕留める潜在能力とパワーは証明したが、8回二死二、三塁の追加点機には、天敵の左腕・高木京からストレート攻めをされ三振に倒れている。明らかなウイークポイントはあるのだ。 矢野監督は、試合後、テレビインタビューに答え、「気持ちも乗りつつありますし、最後のチャンス(8回)のところで、もう1本出れば、さらに乗っていけると思います。ホームランだけでなく、これからもどんどん打って欲しいですね」と、やんわり注文をつけたが、そのウイークポイントをどう克服していくかが今後のテーマだろう。 そのために重要な役割を果たすのがボーアの前後の打者である。里崎氏は、「外国人選手を3人並べずに大山を挟むべきだ。外国人は、はまれば怖いが3人を並べると、くじ引きみたいな打線になる。大山を間にかませば、つながりが出てくる」とも提言していた。 実は、ボーアの先制&決勝2ランを導いたは、この回、先頭打者として出塁した「4番・大山」の存在だった。大山は、崩されずにしっかりと振り切ったことで、バットの根っこだったが、ライト前ヒットにしてボーアの2ランにつなげた。 大山の出塁が、ボディブローにようにメルセデスに効き、その手元を狂わせ、ボーアへの失投を導いたのである。今後、マルテが復帰してきても大山は、外せない打線のピースだろう。そもそも、昨年、4番を108試合任せて育成した大山を開幕スタメンから外した構想がおかしかったのだ。
最後に、この試合では、開幕から“迷走采配“を続けていた矢野監督の采配に冴えがあったことも付け加えておかねばならない。ガルシアとメルセデスの両先発の好投が続く緊迫のゲームで7回に代打を送り、先に仕掛けたのは矢野監督だった。結果論ではあるが、我慢した原監督と動いた矢野監督の采配の差がゲームの流れを変えたことも確かである。 今日10日の横浜DeNA戦からは甲子園に5000人に制限されたファンを迎え入れる。 雨天中止を3試合挟み3連勝したが、まだ借金は「5」残っていて最下位からも脱出できていない。だが、大声やジェット風船を飛ばすことは禁じられているとはいえ、虎党の声援や拍手は、きっと阪神の“反攻“を後押ししてくれるだろう。 矢野監督は、「大きく負け越しているのでね。今日も勝ちましたけど、まだできることもありますし、まだまだ調子の上がる選手がいる。もっともっと連勝を伸ばしていきたいですし、まだまだチームの状態を上げていきたいです。(5000人の)制限の中ですが、ファンの皆さんが来てくれるというのは嬉しいですし、甲子園でね。(お客さんに)入ってもらえるというのは、僕の中で忘れられない1日になると思います。皆さんのパワーをもらいながら一緒に戦っていけたらなと思います」と笑顔でコメントしている。