甲子園でG倒決勝2ラン…阪神ボーアの覚醒は本物か?
開幕の巨人戦では、左腕の高木京に裏をかかれてストレート勝負され、完璧に抑え込まれていた。だが、左腕が、配球の基本線を外寄りのスライダーに置いていることを頭に入れ、一貫して、そのボールを待った。 プロ野球史に残る3度の三冠王を獲得した落合博満氏が、江夏豊氏とオフに麻雀をした際に、当たり牌を読まれ、「一球一球、待ちを変えて追いかけてくると何を待っているかがわかる。図々しく待たれる方が嫌なんだ」と、種明かしをされて、“読み“のヒントにしたという逸話がある。 おそらくメルセデスー大城のバッテリーは、初球のストレートの見逃し方からスライダー狙いを察知していた。大城は外角低めにミットを構えていた。ボールゾーンで誘いたかったのだろう。だが、それは失投になった。狙いを変えずにミスをじっと待ったボーアが心理戦に勝利したのである。 ボーアは初回に併殺の送球をミス、2回にもウィーラーの打球を弾くなど守備面でチームの足を引っ張っていたが、試合を決める一発があれば、多少のミスに目をつぶることもできよう。これで7月1日の中日戦で左腕の岡田から打った来日1号から数え、5試合で3本8打点である。5日の広島戦では遠藤から満塁本塁打を放っている。開幕3試合目の巨人戦で4番かr6番に降格。7試合目の横浜DeNA戦では左腕の今永に対してスタメンから外されていた新外国人が目覚めてきた。 ボーアの覚醒は本物なのか。 元千葉ロッテで評論家の里崎智也氏は、巨人3連戦を前にボーアの変貌理由をこう推測して爆発の可能性を口にしていた。 「新外国人だけは、時間が必要で、最低開幕から15試合、50打席は我慢して起用すべきだと言ってきた。広島戦での満塁本塁打が、ちょうど50打席目。ようやく日本の投手や攻め方に対する慣れが出てきたんだと思う。もしかすると、新型コロナの影響で、振り込みや試合勘が不足しているという調整の遅れがあった可能性もある。中日の岡田、広島の遠藤から打ったボールは、いずれも半速球の甘い失投だったが、それを仕留めきれない選手もいる中で、きっちり本塁打にしたのだから、内容も結果も評価すべきだろう。ただ、まだまだ今後を注視すべきで、本物か?と聞かれれば“今後を見てから”“まだわからない”という答えになるが、これを契機にどんどん打ち出す可能性もあると思う」