従来より3倍軽い機体でドローン配送の効率を大幅アップ、インド新興のAirbound
あなたのお気に入りのレストランは、いつになればドローン配達を始めるのだろうか。何年も前から、ドローンがデリバリーに革命を起こし、数分で注文を届けてくれるようになると言われてきた。しかし、少なくともこれまでのところ、世界のほとんどの市場で大きな進展は見られていない。 こうした中、インド発スタートアップのAirbound(エアバウンド)は、この分野のイノベーションを加速させたいと考えている。バンガロールに本拠を置く同社は11月14日、シードラウンドで170万ドル(約2億6000万円)を調達したと発表した。 2020年にエアバウンドを立ち上げた創業者でCEOのナマン・プシュプがドローンの設計に取り組み始めたのは高校時代のことだ。「これまでに多くのドローン配送会社が登場したが、ビジネスモデルがうまく機能していないケースがほとんどだ。我々は、少し違ったやり方を試している」と彼は言う。 これまで足かせとなってきたのは、ドローン配送の経済性だとプッシュプは考えている。ドローンは、配送を早めるかもしれないが、コストの大幅な削減が実現できない限り、スーパーマーケットや物流などの業界が導入することはないだろう。既存のドローンのほとんどは、それを達成できていないと彼は指摘する。 問題の1つは、ドローンの積載物が少ないことで、バッテリーの交換などにもコストがかかる点だ。プシュプによると、エアバウンドのドローンは、従来の製品に比べて3倍軽く、エネルギー効率は4倍高いという。これにより製造コストと運用コストを大幅に削減することが可能で、配送現場への導入が現実的になっている。 「我々は、ドローンのあらゆるシステムを精査して重量を減らし、安全性と信頼性を高め、効率を最大化した。また、カーボンファイバーの新しい製造方法を開発し、重量を減らすことに成功した」とプシュプは言う。 エアバウンドは数年をかけてデザインを完成させ、ドローンを商業化する準備を整えた。同社は、すでにインドで診療所や検査機関と物資や血液サンプルを輸送する契約を結んでおり、プシュプによると、2025年までに1日200件の配送を行う予定という。 これらの取り組みにより、エアバウンドは飛行時間の実績を蓄積し、ドローンの安全性を証明することができる。米国の連邦航空局(FAA)を含む欧米の規制当局は、ドローンの商業飛行を認可する上で、ドローン会社に一定の飛行実績を求めている。エアバウンドの医療分野での配送は、同社のビジネスモデルを証明すると同時に、米国などにおける消費者向け市場への進出を後押しすることになる。