まるで竜宮城!?島根の日御碕神社、日本神話でももっとも重要な二柱の神を祀る神社の巡り方
取材・文=吉田さらさ ■ こんなところに神社が… 「日本はどこまですごい国なのだろう」。この神社を訪れた時、最初に思ったのはそれだった。日本海に突き出した小さな岬にまでこのような立派な神社があるとは……。 【写真】天照大御神が祀られる下の宮がかつて鎮座していた経島(ふみしま) 島根県出雲市の日御碕神社。出雲大社を訪れた際、すぐ近くのバスターミナルから路線バスに乗ってこの神社に行けると知って足を伸ばしてみた。くねくね道に揺られることおよそ30分。本当にこんなところに神社があるのだろうか。あったとしても小さな社のようなものではないのかと思っていたので、目の前に朱塗りの大きな楼門が現れた時には、まわりが海だったこともあり、一瞬、もしかして竜宮城に来てしまったのかと驚いた。 回廊に囲まれた境内も広く、重要文化財に指定された建物が数々ある。まずは、楼門を入るとすぐ左右にひと棟ずつある門客人社。門番の役割をする一対の神が祀られている。つまり、寺で言えば金剛力士像のようなものだ。左右に随神や狛犬を配した神社はよくあるが、門番用の社まである神社ははじめて見た。その先に立派な拝殿があり、奥に幣殿、少し高いところに本殿がある。これは下の宮「日沉宮(ひしずみのみや)」。天照大御神を祀っている。 右手の石段を少し上がったところにもうひとつ大きな宮がある。こちらは上の宮「神の宮(かみのみや)」。天照大御神の弟神である素盞嗚尊を祀る。古事記や日本書紀でももっとも重要な役割を持つ二柱の神を祀る場所であるため、立派な門番用の社も必要なのであろう。 もっとも、この二社ははじめからこの境内に鎮座していたのではない。神社の由緒によれば上の宮は古代の安寧天皇の御代に、今の社殿がある少し後方の丘の上に鎮座していたものが現地へ遷座されたという。下の宮が現在の場所に遷座されたのは天暦2年(948)のころで、それまではここから約200m西側にある経島(ふみしま)という島に鎮座していたとされる。