「つきまとわれて怖かった」視覚障害者の女性たちが困惑する“親切心” 「配慮のしかたにもマナーがある」
●「家までついてこられた」女性からは不安の声
しかし、中には断られても、執拗に接触を続ける人がいるといいます。 「家までついてこられたり、待ち伏せされたりした」(20代女性) 「『大丈夫』と言っているのに後をつけられた」(50代女性) 「しつこく勧誘された」(30代女性) など、たくさんの意見が寄せられました。「つきまとわれて怖かった」という意見は女性に非常に多いです。 SNSでは「障害者は守られるべきもの」という意見がありましたが、筆者はそうは思いません。視覚障害者は、見ることが不得手なだけで、ひとりの人間です。世の中は「見えること・動けること」が前提で作られているので、彼らにとっては不便なことが多い。 もちろん、一部の人だけが便利な社会は変えていかなければいけません。晴眼者が配慮することはもちろん必要ですが「何もできない人」「可哀相な人」ではないのです。
●「白杖を使っている人=全盲」ではない
意外と知られていないのが「白杖を使っている人=全盲」ではないことです。 マンガが原作のドラマ『ヤンキーくんと白杖ガール』で、だいぶ「弱視(ロービジョン)」という状態があることが知られましたが、人の見え方は人それぞれです。視力が2.0あって細かい文字までよく読めるけれども視野が狭かったり、視野は広いけれど全体的にぼやけていたりする人もいます。 筆者も、とあるロービジョンのスタッフの見え方には、毎回驚かされます。目の前に立って声をかけても気づいてもらえないのに「今日は派手な柄の服を着てますね」と言われることがあるからです。中心視野が失われているので、正面にいると見えないものの、脇に寄ると見えるのだそうです。 視覚障害者と行動していると、彼らの日常を垣間見ることができます。 スタッフと一緒にいると、周囲の人からミーアキャットみたいに伸び上がって注視されることがあるのです。筆者が見えていることはもちろん、みんなだいたい気づいています。「見えないから何をしても気づかれない」というのは恥ずかしい誤解です。 筆者が人混みでスタッフをアテンドしているときは、海を割って歩いたモーセの気分になります。前から来た人たちが白杖に気づき「ハッ!」となって左右に避けてくれるのです。 「白杖で人を転ばせてしまいそうで人混みは怖い」という人は多いので、避けてもらえるのはとても有難いことです。