「つきまとわれて怖かった」視覚障害者の女性たちが困惑する“親切心” 「配慮のしかたにもマナーがある」
●どのようなことに困っている?
白杖についての困りごとを聞いてみると、親切心からもたらされる行為であっても、当事者にとっては「怖い」と感じることがあることもわかりました。 「アテンドの際に白杖を掴む方がいる」(40代女性) 「白杖の先を掴まれ、つながれた犬みたいに引っ張られたことがあるが、すごく怖かった」(20代男性) 視覚障害者にとって白杖は体の一部ですから、勝手に触ってはいけません。 晴眼者に置き換えると、前を見ながら歩いていたのに、とつぜん顔を背けられて歩かされるようなものです。 「縁石に白杖が当たることで居場所を確認する」という人もいます。縁石や壁に突進していく姿を見ると、思わず腕を引っ張りたくなりますが、現状把握の方法も晴眼者とは異なることも知っておきたいものです。
●視覚障害者への配慮のしかたにもマナーがある
では、もし街で立ち往生していたり、困っている視覚障害者がいたら、どうしたらよいのでしょうか。横断歩道や駅構内は分かりづらく困ることが多いといいます。そのような場面をみたら、「お手伝いしましょうか?」とまずは尋ねてみてください。 もし手助けが必要な場合は、「●●を探しています」など、困りごとを教えてくれるはずです。その内容が難しければ、なにができるのかを相談しましょう。「完璧に」何かをする必要はありません。 アテンドするときは、自分の片方の腕や肩を軽く触ってもらい、自分が前を歩きます。これだけでも、段があれば掴んでいる腕の高さが変わるので、段があることが分かります。その上で「横断歩道を渡ります」「上りの階段です」などと周囲の状況を伝えます。その際、むやみに体や白杖、カバンなどを引っ張ってはいけません。 困っていなければお断りされますが、スタッフのひとりは「せっかくの好意なのでお断りするのは心苦しいこともある。もしまた困っていそうな視覚障害者を見かけたら声をかけてほしい」と言います。 断られても「そうなんですね、よかったです」と気持ちよく済ませましょう。視覚障害者への配慮のしかたにもマナーがあることを知って欲しいものです。