1万円の服が100円!衣服の廃棄ゼロを目指す先駆者、次なる挑戦
今回のテーマは、「SDGsの先駆者たち」。SDGs=持続可能な開発目標(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)という目標が掲げられる前から、「食品ロス」や「衣服ロス」に挑む人々がいた。捨てられるものに新たな価値を見出し、ビジネスを通じて廃棄を減らす。番組のカメラが見つめてきた先駆者たちの取り組みが、今、新たな局面を迎えていた。 【動画】1万円の服が100円!ナゼ?
アパレル廃棄ゼロと途上国の支援…先駆者「ショーイチ」が目指す先
1月、「錦糸町マルイ」にある洋服店「カラーズ」を訪れると、某百貨店などで販売する商品や1万3000円の商品が、なんと税込み110円で売られていた。4000円のニットや8500円のスカートも110円。店の特徴は毎週水曜日の値下げで、売れ残るとどんどん値下げされ、5週目には110円になるのだ。
この日はさらなる目玉商品もあり、ダウンコートが9割引きの1980円。全ての商品が新品・未使用だが、なぜそんなに安くできるのか?
1カ月前、大阪市。あるアパレルメーカーの社員が取り出したのは、先程のダウンコート。自分たちで売れ切れないコートを買い取ってもらうために訪ねたのは、アパレル在庫の買い取り業者「ショーイチ」。社長は、「カラーズ」の経営者でもある山本昌一さん(45)。 1万5000円前後のコート約1500着を1着1300円、総額200万円の買い取りで交渉成立。山本さんは、手付け金100万円を現金払いする。アパレルメーカーの社員は、「暖冬でこれだけ売れないのは初めて。1回きれいにしようと会議で決まった」と話す。 買い取った服は、「ショーイチ」の倉庫へ。その数は年間約4000万枚で、段ボールの中身は全て新品だ。SDGsという言葉ができる前から衣服ロス問題に取り組んできた山本さんは、廃棄寸前の服を新たな買い手に届けてきた。
日本だけで年間約29億着の洋服が供給され、その半分にあたる15億着が売れ残り、廃棄されているという。1枚でも捨てられる衣服を減らしたい…。番組のカメラは、問題解決に挑んだ先駆者・山本さんを、15年にわたって追い続けてきた。 2009年の大阪市。「ショーイチ」は、ある老舗メーカーから、サンダルの買い取り依頼を受けた。山本さんは、「4000足売ったら(一足)150円で、4000足売れなかったら200円で」と交渉。在庫は1万3700足もあるが、まずは4000足を買い取ることに。 自社の通販サイトで、買い取ったサンダルを500円で販売すると、わずか1カ月で8000足売れた。「また発注させてください。完売まで頑張りますので」と山本さん。すぐに追加で買い取ることに。 「ショーイチ」には、処分の依頼が次から次へと舞い込む。ブランド価値を守りたいというメーカー側の意向もあり、買い取った服のタグをカット。ブランド名を分からないようにして販売する。 山本さんは「決してかっこいい業界ではないが、必要な会社だと思って信念を持ってやっている」と語る。 いまでは「ショーイチ」に買い取りを依頼する会社は、大手アパレルも含めて約4000社、年商は35億円に達している。