1万円の服が100円!衣服の廃棄ゼロを目指す先駆者、次なる挑戦
クレヨンを開発した木村尚子さん(44)は、「子どもたちは食べ物があるのが当たり前だと思っているが、実は当たり前ではないということを遊びを通じて学んでほしい」と話す。 食品ロスについて、日本では2030年度の目標に向けて、減少傾向が続いている。しかし、こうした食品ロスの統計には含まれない「隠れ食品ロス」といわれるものが存在している。それは、小さな傷や見た目の悪さなどから、市場には流通しない“規格外の野菜”など。 こうした野菜を減らそうと取り組む木村さんを、番組のカメラは9年間にわたって追い続けてきた。 2015年、青森・上北郡 七戸町。農家を訪れた木村さん(当時36)は、形が悪かったり傷があったりすることで廃棄される野菜を農家から買い取り、クレヨンを作っている。 木村さんの会社「mizuiro」は、2014年に設立したベンチャー企業。デザイナーとして独立した木村さんが思いついたのが、廃棄野菜から作るクレヨンだった。
「おやさいクレヨン」の材料は色とりどりの粉末で、緑色は、廃棄されるキャベツの葉を乾燥させて粉末にしたもの。野菜の粉末に食用の米油、米ぬかから抽出したロウを加えて混ぜ合わせ、型へと流し込むと、キャベツのクレヨンが完成する。原材料のほぼすべてが自然由来で、万が一、子どもが口に入れても大丈夫だ。 2014年に発売すると、高級雑貨店や大手百貨店などからも注文が入り、累計17万セットを売り上げる異例のヒット商品に。シングルマザーの木村さんは、離婚後、当時11歳の一人娘と2人で暮らしていた。料理はいつも手作りだが、娘の優那さんは野菜が苦手。娘に野菜を好きになってもらいたいという思いもあり、野菜を使ったクレヨンを考えついた。
あれから9年経った去年7月。木村さんは、和歌山・有田市で新たな事業に取り組んでいた。 有田市は400年以上の歴史を持つみかんの名産地で、1年を通してさまざまな柑橘類が収穫される。この日、「伊藤農園」直営の加工工場では、夏みかんを使ったジュースを作っていた。「伊藤農園」のみかんジュースの一番のこだわりは、独自の装置を使い、弱い圧力でみかんの実だけを贅沢に搾ること。手で搾ったように雑味がなく、果実そのままの素朴な味わいになるという。しかし、実の部分だけを使うため、年間1400トンの皮が産業廃棄物になっていた。
そこで木村さんが思いついたのは、「伊藤農園」から出たみかんの皮を古紙と混ぜたアップサイクル紙「みかん」。よく見ると、みかんの皮や繊維が、紙に独特な色や模様をもたらしている。 さらに木村さんが手にしていたのは、みかんの再生紙を使って試作したスケッチブック。みかん以外にも、青森産リンゴジュースの搾りかすを使った商品も完成させていた。 「もっと広めることで、(捨てられるものを)活用できるようにしていくスキームを作りたい」と、木村さん。 そんな木村さんに、食品大手「キユーピー」から連絡が入る。果たして、どんな依頼なのか。 ※「ガイアの夜明け」より
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