新NISA「オルカン選べば完璧」と思った人の7割が見落とす「やらねばならなかったこと」。元ファンドマネジャーがそっと指摘#1
24年年頭にスタートした新NISA制度。「オルカン」「S&P500」という言葉はすでにおなじみとなりました。しかし、「よくわからないなりに何とか始めました」という人だけでなく、「始めないといけないのはわかっているけれどどうしていいのかわからない」という人もまだまだいるでしょう。 「オルカン積んでるから俺はOK」と考えている人に、元ファンドマネジャーの澤田信之さんから「それが危険な場合もある」と確認事項が。さっそくご説明いただきましょう。 【元ファンドマネジャーが指摘「新NISAでやらねばならなかったこと」】#1
「オルカン一択が不正解」な人って誰? 意外と当てはまる人が多い
こんにちは、個人投資家・文筆業の澤田です。まず、連載の冒頭「オルカン一択」が「不正解」である可能性がある方についてお話します。 ・旧NISAで運用していた方 ・金融資産が1000万円以上の方 ・外貨預金、FX、外貨建変額保険を保有している方 ・確定拠出年金(401K)に加入している方 ・住宅ローンを組んでいる方(特にペアローン) これらの方々は、資産運用の知識をある程度お持ちです。序章にあたるこの記事は軽めに読み飛ばし、続く記事をご覧ください。
あなたはどうして「オルカン一択」にしましたか?
私は20年に渡り機関投資家として投資信託や年金の運用に従事してきました。担当した資産もバランス型ファンド、債券型ファンド、外国株ファンド、REITファンドと多岐に渡ります。今は自分の資金だけを運用する生活ですが、正直に言いますと、個人投資家としての資産運用って難しいですね。 職業として運用を担当しているときはTOPIX(日本株)やMSCI(外国株)と呼ばれる市場指数が評価の基準(ベンチマーク)でした。株価の上下や為替の変動で資産は変動しますが、絶対額で損をしても、ベンチマークより損が少なければ褒められました。逆に、儲けが出てもベンチマーク以下だとマイナス評価です。 個人投資家になってみると全く世界が違います。まず、絶対額としての損や儲けが重要になります。しかも、長い目で見れば運用の巧拙によって1千万円単位で結果が変わります。人生においてそれだけ金銭的に影響がある意思決定はそれほど多くありませんよね、職業選択、結婚、持ち家、車の有無、子どもの有無くらいでしょうか。 我々の世代には「親ガチャ」という言葉はありませんでしたが、もしあなたが親から資産を受け継ぐ「当たりくじ」で生まれてきていないなら、公的年金制度の所得代替率が下がりゆくのが確定している現在、資産運用はインフレに負ない老後生活に必須アイテムだと言えるでしょう。 このシリーズでは、元機関投資家・ファンドマネジャーが、見落とされがちな資産運用の基本についてお伝えしたいと思います。特に、新NISA制度発足の元で資産運用の王道とみなされる「オルカン一択」にしている皆様に向けて。