幼い子どもに、生乳チーズを与えるのは大丈夫?
※この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 ---------------------------------------------------------------- 生肉や牛乳に含まれることもある大腸菌による感染は、子どもに非常に深刻な結果をもたらす可能性がある。そのため、フランスの保健当局は摂取に関して厳しい規制を設けている。 昨年12月のフランスで、生後18ヶ月と7歳のふたりの少女がモルビエチーズを食べた後に、大腸菌に汚染されたことが分かった。ひとりは食べることも歩くこともできなくなり、もうひとりは人工的昏睡状態に置かれたうえで、挿管され、予後が危ぶまれていた。そして目覚めた後には、腎臓が機能不全に陥り、移植が検討された。 こうしたリスクがあるにも関わらず、生乳チーズを何歳から食べていいのか正確に知らない親もいる。そのため、カマンベールチーズを子どもに味見させたり、メニューに取り入れたりするのだろう。しかし、国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)によると、フランスでは感染症の60%が生乳チーズの摂取に関連しているという。同庁の推奨事項は厳格で、5歳未満の子どもには生乳と生乳チーズを与えてはならないとしている。その理由は単純で、大腸菌感染症は幼い子どもにとって非常に深刻な結果をもたらす可能性があるからだ。
大腸菌感染症は、子どものリスクが最も高い
細菌株の大部分は無害だが(大腸菌は人間の消化管にも存在し、"悪い"細菌を消化したり定着を防ぐのに役立つ)、一部の株は進化の過程で科学者が毒性因子と呼ぶものを獲得し、人間に対して病原性を持つようになった。これは腸管出血性(ECEH)と呼ばれる病気に当てはまり、加熱不十分または生のままで肉や乳製品を摂取することにより、重篤な感染症を引き起こす志賀毒素を分泌する。 ほとんどの場合は治癒するものの、重篤な症状が引き起こされる場合もある。「リスクが最も高くなるのが小児です」と、微生物学者でパスツール研究所大腸菌リファレンスセンター所長のフランソワ・ザビエル・ウェイル教授は指摘する。「溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する可能性があり、症例の10%では、毒素が全身に拡散し、腎臓や脳に達することもあります。子どもの顔色は白くなり、息切れし、排尿回数が減り、その後はまったく排尿しなくなり、透析が必要になることもあります」 教授によれば、15歳未満の子どものHUSの重篤な症例は、年間平均150件あるという。「そのうち30%は20歳になっても後遺症がありませんが、残りの70%は腎臓移植前または透析を受けている可能性があります」と教授は続ける。この感染症は症例の1%では致死に至ることもあるというから、軽視すべきでないのは明白だろう。